「友情を描いた物語として楽しんだ」お隣さんはヒトラー? kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
友情を描いた物語として楽しんだ
ヒトラーが実は生きていたという設定は他の創作物でも見たことがある。ナチスが月の裏側で地球侵略を狙っていたなんて映画もあったし。そんなことを想像させるくらいに創作物のネタになるってことだろう。本作は、隣に越してきた人物がヒトラーではないかと疑う話。ヒトラーが南米で生きていたなんて都市伝説を下にしたものだ。
隣人がヒトラーであることを証明する証拠集めをするマレクは明らかにやりすぎだし、集めたものも実際どれだけの証拠になるのかも疑わしい。ただ、ミステリーやサスペンスではないからこれでいい。ナチスに絡んだ話だからもちろん人の生き死に絡んだシリアスなシーンが出てくる。それは避けられない。でも、全体的にちょっぴりコメディテイストだし、笑えるところも多い。深刻な物語にしないように意図したものだろう。
だから鑑賞後の印象も普通のナチス映画のシリアスなものではなく、男同士の友情が描かれた物語としての温かみや爽快感の方が強い。いや、でも切なさも含まれてしまうか。バラの色もマルクにとっては黒だったというあたり考えさせられるから。結局、ナチスの愚行がいかに多くの人の人生にいかに多大な影響を与えてしまったのかを想起してしまった。これも見事なナチス映画だった。
コメントする