「Vendetta」お隣さんはヒトラー? ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Vendetta
年一ペースで劇場にお呼ばれするヒトラーが隣人なんじゃ?と疑ってかかるコメディで良い切り口だなーと思い鑑賞。
隣人としての仲を深めていく様子はとても微笑ましく、チェスを好むという共通点でヒトラーかどうかを探る様子だったり、酒に溺れてベロンベロンになった状態を介抱したり、その内自分の身の上話をし始めたりと、警戒しながらも距離を詰めていってて面白かったです。
ヒトラーの筆跡を取りたいからチェスをしようと持ちかけたら、「チェスが終わった後に書いてやる」と言われ、「チェスやる前に書いてくれ」と言ったら、「分かった、チェスをやった後に書いてやる」と押して押されてのシュールなコントを見せられているようで楽しいシーンでした。
その後のチェスが終わった後に書くのかと思いきや、タイプライターでの打ち込みだったりと思い通りにいかない展開もとても良かったです。
良い隣人になってきたな〜と思っていたところに茶々が入るのもお決まりで、飲みにきた人たちが思いっきり総統万歳!なんて言っちゃうもんだから疑惑が確信へと変わってしまうスリリングな展開もやってきました。
ヒトラーのタマタマが1つという情報頼りにズボンを脱がせて確認して、タマタマが2つあることに泣き崩れる様子は当人たちにとっては極限状態の出来事なんだと思うんですが、いかんせん下半身モロ出しのおじさんと近くで泣いてるおじさんという絵面を見せられてるもんですからつい笑ってしまいました。
本当のヒトラーだったとか、全くの別人だったとかのオチなのかなと思ったら影武者だったというオチはちょっと予想してなかったので、一本取られたわ〜と思いつつ、そこからの展開もヒトラーの影武者になるために腹の肉を切られながらも生活していたというゾッとする過去が挟まれ、それと同じラインで戦争で家族を亡くしたマレクの悲しい過去もやってきて、2人が同じ時代に味わった苦痛を共有する事でまた違う距離の詰まり方になっていたのが少し面白かったです。
短い期間だったとはいえ育んだ友情がサラッと別れに繋がってしまう切ない展開には心がキューっとなりました。
ヘルツォークにとっては良く起こりうる事だと思うので、少しだけ寂しそうでしたが慣れていましたが、距離が近づいていたもの同士、言葉には出さないだけで寂しさはビシビシ伝わってきました。
鑑賞日 7/26
鑑賞時間 15:40〜17:30
座席 D-3