劇場公開日 2024年7月26日

「チェスに関する知識があるとかなり有利?」お隣さんはヒトラー? yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0チェスに関する知識があるとかなり有利?

2024年7月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年270本目(合計1,362本目/今月(2024年7月度)33本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。

(前の作品 「台北アフタースクール」→この作品「お隣さんはヒトラー?」→次の作品「」←テアトル梅田予定)

 大阪ステーションシネマに移動してこちらの作品。なぜかこの作品、放映時間が極端に偏っているんですよね…。

 ナチスドイツを描いた映画としては、いわゆる収容所問題のドキュメンタリーやそれに準じるものと、この映画のように「ヒトラー逃亡説」のような一種のネタを扱う映画とに大きく分かれますが、後者です。後者に関してはやはりナチスドイツの行った政策の性質上、そんな映画やるのはけしからんというのはあると思いますが、最大限それでも思想良心の自由や表現の自由は尊重されるべきではあります。

 ※ まぁ、同じ映画館で(旧シネリーブル梅田(現テアトル梅田))で、一方で収容所ものを放映しつつ、向こう側のスクリーンでは「もしヒトラーと東条英機が生き残っていたら、というifものでひたすらバトルする映画」という謎の組み合わせはさすがにアレかと思いましたが…(2021年ごろのコロナ事情での混乱期であり仕方がない)。

 ネタバレに関してはすでに書かれている通りですしそれを書いても仕方がないので…。

 ヒトラー自身に限らず当時のドイツではチェスが多く遊ばれていたのは事実で、この関係でチェスに関する語が多く登場します。なかにはチェス用語ばかり出てくるシーンがあるので(将棋から類推ができる部分はないわけではないが、別のゲーム)、そこがちょっと厳しいかなといったところです。もう一つ、場所がら、「ドイツ語」「南米スペイン語」「英語」「ヘブライ語??」と最低4言語出てくる珍しい映画で(最後のヘブライ語?は少な目だが、残りの3つはほぼ等分の割合で出てくる)、結構展開を迷わせてくるなといったところです。

 結局のところ、誰であろうが、あるいは逃亡していようがいまいが、「どこに住むか」というのは本人の自由であり(密航などのケース除く)、それを行政が「あなたは犯罪の嫌疑があるのでここには住めません」とは基本的には言えません。少なくとも日本では、です(日本のいわゆる地下鉄ガス事件のあと、その事件の末端の信者たちが事の重大さに驚いて引っ越しなどしようとしたら、「この宗教の方はこの市では住民票を受理できません」などとなって一時期社会問題となった)。このことは、程度の差がそれと大きくさらにかけ離れているナチスドイツのそれでも同様であり、「どこに住むか」といった基本的人権に関することまでどうこう言われる筋合いはなく(それは加害者を擁護するというより、人権の尊重を優先した場合のお話)、第二の筋としてはそれがあるのかな、といったところです。

 もっとも映画の展開としてはあっと驚く急展開を見せるのですが…。ここはネタバレになるので回避しましょう。

 採点に関しては特段気になる部分はないですが、チェスのコマの名前等も結構多く出てくるので、youtubeなどで「10分でわかるチェスのルール」くらいの動画を見ていればよいかなと思います。減点なしフルスコアです。

yukispica