「ディケンズ・ミーツ・グッドフェローズ?!」ザ・ホワイトタイガー よしさんの映画レビュー(感想・評価)
ディケンズ・ミーツ・グッドフェローズ?!
インドのカーストは2つだけ --- ダブルミーニングで"参った"(お手上げと文字通り精神的に)。名著 × 名演 = チャールズ・ディケンズが『グッドフェローズ』『スカーフェイス』を書いたら(本編中盤から始まる裏社会成り上がり・のし上がりモノ)?アメリカの実態を切り取り告発してきた次はインド!今まで観客を何とも嫌な気分に沈めてきた社会派監督ラミン・バーラニ作品としてキャッチーな印象を受けたのも束の間、やはり今回も一筋縄ではいかず、彼の作品は彼の作品でしかなかった = 社会を映し出す。回想形式な作中を覆う大量のモノローグ主体の語り口を、強迫観念的な映像による真実味と共感そして娯楽性の調和によって、退屈させず観客を引き込む監督の手腕に唸った。美しく作られており、ものすごく説得力がある挑発的な表現の責務と可能性。真に迫っている。完璧なペースで決してダレない、研ぎ澄まされている。ベストセラー小説の映画化として正解。今回も、しっかりと居心地悪くなる不思議で不気味な年代記。その多くは知らない顔ばかりだが主演はじめ役者陣もいいし、ヒップホップが支配するサウンドトラックも作品を形作る。白人は落ち目だ、時代の主役は茶色や黄色の人間。
起業家への道 --- 見てるコッチの気が狂いそう。胃がキリキリしては緊張感漂う、そんな瞬間が突如としてやって来る。毎シーンのように僕たちに拳を突きつけてくる。使用人から始まり、ダークでスリリングに、かき乱される。世界に届けられるべき、そして奇しくも私達も他人事でない階級社会の内実、ボリウッド映画では分からぬ実情とでも言うか。嘘偽りない見事な調和あるいは不安定さが語りかけて来ては、迫ってくる。社会的にも精神的にも実にパワフル、見る見る内に引き込まれていった。カースト制度が、絶対的な身分差がいつだって目の前に横たわる。それは避けることなどできず、ここに簡単な答えなど無い。身につまされる問答無用な共感に目が釘付けになり、時に息するのを忘れてしまいそうなほど容赦ない。頭がクラクラとしては目眩のしそうな暗部・闇への視線、洞察。これを単なる風刺と括るにはあまりにリアルで胸焼けしてしまいそう。本作を愛しているのか憎んでいるのか、もはや自分にもさっぱり分からない。少し楽しみにしていた本作は思ったよりヤバい代物だった!激クソヤバ作品、劇薬認定。
ハエみたいに付きまとうな!
頭をかち割ってお金を盗みたいです
自分を偽れない、ここが俺の国だ
貧乏人が頂点に立つ方法は