「初めての科捜研」科捜研の女 劇場版 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
初めての科捜研
今季でseason21。国内のTVドラマシリーズで最長。
テレビ朝日の人気長寿作の初の劇場版。
邪道ながらTVシリーズは全くと言っていいほど見た事ない。たまたまTV点けてて放送したのをチラ見程度。
でも、おおまかな概要は知っている。いつぞやの『博士ちゃん』での特集も面白かった。
京都府警科学捜査研究所、通称“科捜研”。法医研究員の榊マリコと仲間たちが、数々の難事件を科学を駆使して真相解明に迫る。
科学のスペシャリストチームによる犯罪捜査ミステリーとして鑑賞。
マリコの仕事仲間の同僚が建物の屋上から転落死。事故か、自殺か、殺人か…?
死の直前、帝政大学の微生物学教授・加賀野に会っていた事を知り、彼と彼が研究する“ダイエット菌”が事件に関係している…と、推理。
マリコと仲間たち、京都府警の土門刑事は早速捜査に当たるが、同様の転落死事件がまた一件、さらにロンドンやトロントでも発生し…。
面白味充分のプロット。
奇々怪々、非科学的な超常現象のような事件。
解決の糸口や決定的な証拠もまるでナシ。それが世界中でも発生。
非科学に科学で挑んでいく入りで、捜査を進めていく内に、事件に“科学”が影響している事を知る。
科学の犯罪に科学の力で挑む。
やはり見ものは、“科学捜査”。
解剖、体液検査、CT画像スキャン、コンピュータ計算による落下時シミュレーション…。
“科学は嘘を付かない”。
刑事捜査とは一味違う面白さ。
勿論、刑事捜査とも連携。
事件の肝である転落死の謎。本当にそんな行動を?…と一瞬思うが、科学捜査で紐解かれた真相は納得や説得力も。
それに至った科学の“恐ろしさ”も。
非常に興味沸き、勉強にもなり、見応えあった。
長年見続けているファンにとってはビッグプレゼント、最高のお祭り作品なのだろう。
個性的なレギュラーメンバーを一人一人紹介してくれる開幕から、話始まってからもヘンな言い方だが不必要なくらい出るわ出るわの登場人物。
馴染み、久々、シリーズ彩った面々なのだろう。マリコにフラれた歯科教授、マリコの父親、元夫まで。(今もTVシリーズには出ているキャラなのかな…?)
演者も豪華。
だけどやはり、座長の沢口靖子。
科学の事しか頭に無く、研究の為とグロい写真すら臆することなく、小難しい専門用語も興奮的にペ~ラペラ。ちょっと風変わりで、捜査時しばしば強引な時も。
しかし、静かながらも内に熱い思いを込めたヒロイン。
熱血タイプの土門刑事とは対称的だが、名バディ。ほんのり大人のロマンスも…? 安定の内藤剛志刑事。
沢口靖子って吉永小百合タイプの女優だと思う。つまり、見た目の美しさは変わらないが、正直演技力の方は…。終盤の“アカデミー賞ものの演技”には思わず失笑。
でも、作品が長く続き、榊マリコが最大のハマり役なのは、沢口靖子の凛とした魅力と真摯な演技から。
対する加賀野。
天才、高慢、科学や科学者の明暗合わせたような役柄。
佐々木蔵之介がさすがの巧演と存在感。
遂に解明された真相と、犯人。意外性を突いた真犯人であったが、ちと動機が弱かった気もする。
科学捜査の面ではリアリティー充分だが、話展開的にはご都合主義も多々。捜査に行き詰まっても、必ず誰かしらキャラが登場して、その得意分野を活かしてあれよあれよと解明されていく。
あくまで“鑑定”するだけのチームなのに、刑事と共に権限ナシの捜査。職務規定違反も多々。まあ、最後はちゃんとお叱り受けたけど。
京都の美しい映像は良かったが、サスペンスはあまり盛り上がらず、演出もステレオタイプ。沢口靖子は元より他のキャストもベタだったり大袈裟演技。
せっかくの劇場版だけど、一歩引いて見たら、スケールは割りと地味。TVSPでも充分では…?
まあ、難点やツッコミ所もあるが、
テレ朝のTVドラマの劇場版は『相棒』の予想を遥かに超えた特大ヒットが一つの分岐点。
その後も『交渉人』や『臨場』があったが、不発。個人的にもいまいち…。
本作はテレ朝が誇る看板番組の満を持しての劇場版。『相棒』の大ヒットよ再び!…を会社は期待しただろうが、残念ながら。
テレ朝TVドラマの劇場版ではやはりTVシリーズも見ている『相棒』がダントツで好きだが、しっかりと初めて見た本作は、『相棒』以外の中では最高とまでは言わないが、悪くはなかったと思う。
不思議なシリーズですよね~。
私もTVシリーズをそれ程のめり込んで
観ていた訳でもないのですが
何となく映画館で観ちゃって~~
頭空っぽにしてボ~っと気分転換に観るには
ちょうど良かったかも?な感想です。