「やや字幕などが不足/不自然に思えるが、今週では間違いなく本命筋。」白頭山(ペクトゥサン)大噴火 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
やや字幕などが不足/不自然に思えるが、今週では間違いなく本命筋。
今年107本目(合計171本目)。
------
内容が特殊な映画のため、映画の描写にそって記述しますが、表現などについて差別意識はない点は断っておきます。
------
いわゆる災害ものを扱った映画。この手の映画は韓国映画が一歩も二歩も抜けている感じがありますね。
そして今回は北朝鮮(便宜上、国扱い。以下同じ)まで出てきます。本来的にはどうなのか…とは思うものの、北朝鮮も「政治とエンターテインメントは別」ということなのでしょうか…(それほど抗議が来るなら、公表されないと思うので)。
主に出てくるのは韓国、北朝鮮。ここまでは当たり前。さらに、アメリカ、ロシア、中国と多数出てきます。それだけ、朝鮮半島を取り巻く環境は「リアル現状」でも複雑であり、映画化してもそうなってしまうのですよね…。そのため、多言語はすべて《~~》と、《》くくりになっています(言語だけだと5つくらい出てくる珍しい映画…)。
お話の筋もわかりやすいなと思った一方、序盤の「どうやってこの問題に立ち向かうのか」という作戦会議的な部分で、かなりサイエンス的な話が出ます。しかも、日本では学習することがないような内容(鉄の融点は何度かなんて、その場で知っている人いなさそう(1540度だそうです))まで出てきて、序盤は結構理系ワードでおしおしです。とはいえ、理解できないとストーリー自体が理解できないというものではないので(無視したり、わからなくてもストーリーとしてはわかるので)、そこは問題はないんじゃないか、むしろ、リアルサイエンスを全面に押し出してくる韓国映画のすごさを感じた一作です。
全体的に無難にまとまっていて、政治的な問題等も入ってはいますが(勝手に北朝鮮に入ってしまうなど)、それはまぁ仕方がないので…。それ以外では出てこず、今、いろいろ問題をかかえているリアル今日ですが、映画内ではそこまで気を使わなくてもよい感じです。
採点にあたっては、下記を考慮して4.5まで切り捨てています。
----------------------------------------------------
(減点0.3) 北朝鮮に潜入したあと、平壌などの街を探索するシーンが出ます。しかし、それらの看板の翻訳はほとんどなし(まぁ、だいたい検討はつくのだが…)。かつ、韓国人と北朝鮮の人が話し合っているシーンも、韓国語で統一されています(他言語扱いされていない)。
しかし、韓国と北朝鮮では国語(ハングルに始まる、表記法など)が異なることは有名な話で、少しでも韓国映画を知っていればこのことはわかります。であるのに、あたかも全部韓国語扱いのように記述するのは、仕方がない面もある(韓国といえども、一応、リアル世界では停戦状態(朝鮮戦争)にある、北朝鮮の「国語」を知りようがない、という面は言える)かな、換言すれば、韓国映画をよく見る人は混乱してしまうが、「色々リアル事情を考えると仕方なし」という状況です。
ただ、この関係か、翻訳がないところがかなりあり(諸般の事情で、誰もわからなくて無理だった、と考えることもできる)、後半はそれは本質論ではないものの、なんでそこだけ抜けているんだろう…と思われても仕方がないでしょう。
また、エンディングにもその点(北朝鮮の描写において翻訳がないのは諸般の事情です、とか何とか)は一切出てこず(そもそも翻訳されていないが、長文も表示されていないので、それがあると考えるのは難しい)、どこかで対応できていればなぁ…という印象です。
----------------------------------------------------
※ 日本国内でも、大学入学共通テスト(旧センター試験)の「韓国語」も、公式には「…大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国で正書法が違う場合には、原則として前者の方式によるが、後者の方式による教育を受けた受験者が著しい不利益を被らないように配慮する。」という扱いです。