劇場公開日 2021年6月18日

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「私は、なりたい自分すらわかんないんです。」青葉家のテーブル 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5私は、なりたい自分すらわかんないんです。

2021年6月19日
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鑑賞方法:映画館

有名人の母親をもつ高校生優子。背伸びし過ぎ。母親意識し過ぎ。人の目気にしすぎ。与田ちゃんの言う「しっくりこないなんて、なにか理由見つけて逃げてるだけでしょ?」がズバリ的を得ている。テンポも悪いし、演出もベタだし、優子はウジウジしてるし、春子のキャラは無難にやり過ごそうとしててはっきりしないし、いずれ覚醒するであろう優子の目覚めまで我慢できるか心配してしまっていた。
ところが。
「正解はひとつじゃないっぽい」に気づいてからの笑顔の晴れやかさ。その目覚めからがみずみずしい。仲直りの演出も過剰じゃない。むしろ、場面の削ぎ落とし方こそが、一瞬一瞬の時間の流れが早い若者らしくてよかった。
何も見つけることはできなくても、相変わらずなりたい自分がいろいろかわっても、与田ちゃんというかけがえのない友達と出会えただけで、この夏の「何か1コ」は手にしたんじゃないかな。二人はまさに、若い頃の春子と知世なのだ。そしていずれ優子も母になるだろう。その時、「カッコいいお母さんの青くてダサいとこは、若者の希望だよ。」と自分でも思うだろうね。

そして、活きのいい若者をまぶしく見つめる僕に、聞き覚えのあるエンディング曲。サニーデイ・サービスの『甲州街道の十二月』じゃないか!まさか、chocolate sleepeoverってバンドのモデルはサニーデイ? リクのバンドメンバーの名前なんて「大工原」だし。ずいぶんとサニーデイに寄せてるんじゃない?それだけで★+0.5。だって、映画観てから数時間、ずっとこの曲ばかり繰り返し聴いてるくらいなんだもの。

栗太郎