「強い信念と行動力に民はついていく」生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
強い信念と行動力に民はついていく
上映後、監督のフリートークも聞くことができました。ラッキーでした。
監督がおっしゃるに、島田さんの写真はほとんど残っていないとのこと。また島田さんの沖縄での働きぶりを伺える記録も無いとのこと・・・。あるのは、存命の方々の証言と少しある官庁の資料。
本人自身の情報が非常に少ない中、本作はそれでも島田さん本人の姿を浮き彫りに成功していると思います。
故人を浮き彫りにできるほどの証言があるということ。それは、知事時代は本当に民衆の方を向いて、会話をしていたからなんだろうなぁと思います。きっと、県民のことを考え、県民にとって何が一番なのか?を考えるからこそ、視線も交わす言葉も県民に近いところになっていくのであろうと思います。故に島田さん自身とのエピソードが多買ったのではないか?と推測します。
沖縄本土決戦における県民との避難の様子、それを無視するかのように引くに引けない国(軍)が
軍の理論を市民に押し付ける・・・。まさにお国の為・・・全体主義ですね。
全体主義の中では個は軽視されます。ましてや役人たるや公人の「個」はあってはならないのでしょう。しかし、島田さんは「個」(作品内では人間島田と表現)を重視するのです。戦時下においてこのような判断を自身の行動とともに具現化できるなんて・・・なんという信念の強さでしょう。
県民にとって、何が大事か?何を大切にすべきか?を自ら考え行動し、自身の判断に全責任を負う覚悟を持つ。
果たして当時の軍隊に島田さんのようなリーダーがいたのでしょうか?
果たして今の日本の政界、行政に島田さんのようなリーダーがいるのでしょうか?
不謹慎かもしれませんが、当時の知事が島田さんじゃなかったら、県民の被害はもっと大きかったのでしょう。