「うーむ、ファンなら楽しめるかな?」狂猿 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
うーむ、ファンなら楽しめるかな?
プロレス好きだけど、デスマッチは苦手で
見てませんでした。葛西選手も微かに
名前だけ聞いたことあるかな?ってレベル。
怖い物見たさもあり鑑賞。
葛西選手やデスマッチのファンは凄く
嬉しい作品ではないでしょうか?
試合ではわからない葛西選手の私生活や
心情が垣間見えて、今まで以上に試合に
感情移入できるのではないでしょうか?
ただ、このドキュメント作品の目的は
なんだったのかな?と考えてしまいます。
葛西選手や団体のプロモート映画であれば、
これで良いのかなー?
僕としては、それでは物足りないです。
葛西選手がデスマッチに身を置いてる
理由や経緯は十分わかります。
語られてるんで。
また、コロナ禍で興行が大変ってことも。
エクストリームな試合内容なんだって
ことも。
プロの仕事をしてるレスラーを見たい
わけじゃないんです。
クレイジー(に見える)な仕事をする人の
ON/OFFの映像だけでは足りないんです
でも、なぜそうするのか?
なぜ、突き進むのか?
なんで、デスマッチなのか?
僕はエスカレートしていくデスマッチ業界に
身を置いてる方々はなぜそんなに痛みを
追い求めるのか?追い続けるのか?
繰り返し自らを傷つけられるのか?
なぜ、生業としてやっていけるのか?
体がないから選択肢がない
観客の声援が忘れられない
家族いるからやるしかない
いやいや、それだけで命かけられる
もんなのだろうか?
奴はすごい、
奴は俺を超えた
奴と同じことはできない、
などなど、称賛や尊敬の言葉を
聞けば葛西選手の業界内の立ち位置や
カリスマ性は伝わりますが、
現状を映し出してるだけなんですよね。
プロレスは歴史だと思います。
歴史の積み重ねのなかで多くの団体が
生まれ消えていき、プロレススタイルは
進化し、そしてそれらに適応するために
選手も進化してきたと思います。
本作ではデスマッチの歴史は語られない
です。(FMWなぜ出ない?)
選手の進化や、選手としての葛藤も
掘り下げられません。
やはり、そのコアな部分を明らかにして
こそ、狂猿の「クレイジー」なストーリーが
見えてくるのではないでしょうか?
正直コロナ禍の話はいらなかったです。
苦しい、大変はわかってます。
プロレスラーとしてプロの仕事をしてる
レスラーを見たいんじゃなくて、
僕はそれが観たかったです。
ちょい残念だったな。