「美術品ほど信用商売な業界もないよなぁ。」レンブラントは誰の手に たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
美術品ほど信用商売な業界もないよなぁ。
オランダの画家、レンブラントの絵画をめぐり右往左往する人々の姿を描き出したドキュメンタリー。
全く芸術に対する知識がない中、タイトルに惹かれて鑑賞。レンブラントという名前自体、ほぼ初めて聞きました。そんなレベルです。
レンブラント・ファン・レイン(1606〜1669)とは、ネーデルラント連邦共和国(現在のオランダ)出身の画家。
光と影を印象的に絵画に落とし込む作風から「光の魔術師」と呼ばれている…🤔
レンブラントは作品のクオリティにブレがある上、年代ごとに作風を実験的に変えており、さらに存命中に多くの弟子をとっており、その弟子たちがレンブラントの技法を用いて肖像画などを描いていたため、真贋の定かではない作品が多く、現在でも鑑定作業が続いている…らしい。
レンブラントの絵画をめぐる、3つのストーリーが展開される。
1つは貴族出身の画商、ヤン・シックスがレンブラント作の可能性がある絵画を手に入れたことで起きたある騒動。
1つはあの伝説的な名家、ロスチャイルド家がレンブラントを売りに出したことにより起きたオランダとフランスの外交対立の顛末。
1つはスコットランド貴族の持つレンブラント作「老婆の読書」にまつわるエピソード。
これら3つのエピソードは、多少のリンクはあるにしろほとんど独立したお話なので、ポンポンポンと3個の小鉢を配膳されたかのような味気なさを感じてしまった。
これら3つのエピソードが1つの大きな物語に集約していったら面白かったのだけれど、ドキュメンタリーにそこまで求めるのは酷だよね😅
このドキュメンタリーを観て思ったことは2つ。
レンブラント絵上手ぇ!!😳
何を今更、と芸術に精通している人なら思うだろうけど、ほぼ初めて意識的にレンブラントの絵を見た自分のような人間なら度肝を抜かれるはず。
研究家の人が絶賛していたように、ヒラヒラの襟、通称ラッフルの描かれ方なんか本当にどうやって描いたのかわからんくらいに写実的。
人物の表情なんか、そのまま目玉とかが動いてもなんの違和感も覚えないくらいの生命力に溢れている。
マジですげ〜!
もう一つは、絵の値段高ぇ!!
2枚で200億円くらいする訳でしょ。ただの絵を巡って、オランダとフランスの国交問題にまで発展するんだからもうわけがわからん。
フランス人には争い好きのDNAが流れている、と言い切るオランダ国立博物館の館長の毒気が面白かった。
貴族の人たちって、普通の人間とは全く別の人種なんだなって思いました。
余談ですが、同じ金持ちでも、貴族と実業家だと顔つきが全く違うということを、このドキュメンタリーで学びました。貴族の人たちの余裕が半端ない。ゆっくり時間が流れているような感じがある。
ウン百億円の値打ちのある絵画をめぐる、人間たちの欲に塗れたいざこざを、絵画の中の人物が静かに眺めているような感じで、さながらアイロニカルな喜劇のようなドキュメンタリー。
オランダとフランスのバトルはもっと膨らませて描くことも出来ただろうし、ヤン・シックスの物語もちょっと投げやりな感じで終わったのが残念っちゃ残念だが、全体としては結構楽しめた。
美術品に興味がない人でも楽しめると思います😆
いやしかし、タイムマシンでもない限りレンブラントの作品なのかどうか証明する手段はないわけだから、画商や専門家の意見でその絵画が本物か贋作か決まっちゃうわけでしょう?
なんというか、よくわからない世界だなぁ、と思った。金持ちの道楽っすなぁ💸