「子どもと原作ファンと大人、全員が楽しめるまさにクレヨンしんちゃん」映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園 はれるんさんの映画レビュー(感想・評価)
子どもと原作ファンと大人、全員が楽しめるまさにクレヨンしんちゃん
もう今作最高すぎ〜〜〜〜〜
劇しんといえばオトナ帝国とアッパレ戦国2強で、世間ウケがよろしかったロボとーちゃんはあまりにも"大人ウケ"に寄りすぎていて「クレしん映画」というジャンルで見たときにはまだまだ荒削りだったんですけど完全に今作でモノにした感がありました。
泣かせ枠でもなくあくまで「大人も楽しめる子ども向け映画」を貫いていて大満足です。
スタッフがそれぞれのキャラクターを本当に大切にしてくださっているんだなというキャラ愛に溢れてた。
調子に乗ると最高のポテンシャルを発揮する超ロックな裏切りオニギリモードのマサオくんとか、そのマサオくんを「マサオ!」の呼び声だけで一瞬にして正気に戻せるネネちゃんとか、信じたものに対してひたむきなボーちゃんとか、いわずもがな風間くんと野原しんのすけさんとか。みさえもひろしもみんながみんな等身大だった。
自分は原作ファンなので、序盤に「エリート」って単語がめちゃくちゃ出てきたことで「あ〜〜原作のあの話来るのかな〜」と思って待機してたんですけど1番いい場面で「ぼくの友達は心がエリートです」が出てきても〜〜〜〜〜大号泣〜〜〜〜〜〜わかってるなスタッフ本当にも〜〜〜〜〜〜最近のクレしんグッズの傾向といい流石スゲーナスゴイデスのトランプを販売するだけある天才としか思えない。
原作は風間くんだけ私立の小学校に行くっていう展開になるわけなんですけど(えんぴつしんちゃん)、結局風間くんは東大に入ってまでしんのすけさんとの縁は切れず過去に戻ってまでしんのすけさんを助けに来るわけで、幼稚園の時に今回のバックグラウンドがあったからこその選択なのかなと思える素敵なお話でした。
ひとつ悲しいことがあるとすれば、野原しんのすけさんからハードボイルドが薄れてきたことでした。自分の中での野原しんのすけさんは、その人の後ろ姿を見て合否に気付いたり、誰かのために優しい嘘をつけたり、「待つのも飽きたし」と言って他人を救ってしまうような、みんなにとって秘密のヒーローという存在でした。
だからこそ公然のヒーローとなったがゆえに大衆から叩かれたラクガキングダムの展開はほんとに悲しかった。
今作にはカスカベボーイズのときみたいに風間くんに殴られても怒ることなく手を差し伸べる野原しんのすけさんや、「ドッチボールじゃなくてサッカーの気分なんだよね」と言って仲直りする野原しんのすけさんはいなくて、5歳児らしく面と向かってぶつかり合う野原しんのすけさんがいました。
声優交代のとき、なんでもない日常の最後に「あーオラ、毎日楽しい」と言っていた矢島晶子さんとともに、正面を向いて笑わないハードボイルドな野原しんのすけさんは去っていったのかなと、今作を見て思いました。
でもまあそれはそれ自分のめちゃくちゃ個人的な悲しさとして今作のクレしんはマジで最高!!!!!!!!本気で非の打ち所がない!!!!!!!!
ミステリーとしての出来がよすぎんか?解ける材料を全て揃えた上でミスリードを誘う仕掛けが秀逸すぎる。あと廊下×夕陽場面で風間くんをしんのすけさんと対立させて風間くんの孤独を表現するところとか超映画チックでテクニシャン。アニメ映画ってここまですごいの?人間の情動を意識した動きじゃんそれ。野原しんのすけさんたちが本当に生きてる。生きてんのよ。
なんかもう段違いで今作すごいから将来「あぁ、あのクレしん映画?劇場で見たけど?」とイキるためにも今のうちにさっさと見といたほうがいい。