劇場公開日 2021年7月30日

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「おバカ、青春、ミステリー。すべてにおいて隙のない傑作」映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園 サブレさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0おバカ、青春、ミステリー。すべてにおいて隙のない傑作

2021年8月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

カスカベ防衛隊がエリート小学校に入学して楽しくやるお話。スタンドバイミーが好きな人にぜひ。
最近の映画クレヨンしんちゃんは大変面白い。しんのすけのおバカな行動をベースにトラブルを起こしたり、逆に解決したりと、大人と子供両方が楽しめるものになっている。

今作の天カス学園もそうだ。登場人物のネーミングセンスは昔ながらのしょうもないダジャレで、本作の敵役である吸血鬼も血ではなくおケツを吸うので吸ケツ鬼と呼ばれて恐れられている。序盤から畳みかけるしょうもない設定に気も緩んでしまう。
しかし本作の魅力は何といってもミステリーと青春。前編はクレしん流怪奇小説とでも呼ぼうか。江戸川乱歩の少年探偵団シリーズっぽいからだ。吸ケツ鬼が現れ、人を襲い、少年探偵団がそれを解決する。子供にとってはワクワクものだし、きっちりしんのすけのおバカも光るところもまた良い。
そして吸ケツ鬼事件が解決してからはアツい青春ものが始まる。いや、解決してからではなく解決のタイミングそのものが青春。これぞ学園アニメとでも喝采を送りたくなるような展開の数々。

また、しんのすけたちが汗まみれになって走る姿に、オトナ帝国を思い出した。オトナ帝国が大人による子供時代への懐古を描いたのと対象に、この作品では子供による将来への不安を描いて見せた。しんのすけたちも大人になるのか、とちょっと寂しくなったり。
前半笑って楽しめて、後半ちょっとほろりとくる。傑作です。

サブレ