「小津安二郎贔屓」夏時間 Jun Tanakaさんの映画レビュー(感想・評価)
小津安二郎贔屓
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実家っていいなぁ。実家があるから、皆集まってくる。そう思って観ていたが、観終わると、おじいさんがいたから実家なのだと再認する。皆、意識はしていないが、おじいさんがいたから集まってきたのだ。主人を失った実家は、もう実家ではなくなった。その寂しさは、おじいさんが死んだ悲しみを、倍増させる。最後のオクジュの大号泣には、そんな思いが感じられた。
作品全体の様子が、どこか小津安二郎の作風を感じさせる。随所に現れるローアングルが、深みを醸しだす。この作品では、テーブル・椅子の食事風景がなく、全てちゃぶ台という所も、そう思わせる所以だろう。ラストの、一人号泣するオクジュのシーンで終わる余韻も小津風だった。何でも贔屓目に見てしまう。
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