「もはやロシア=重厚な作品が定着したか」スプートニク Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
もはやロシア=重厚な作品が定着したか
パッケージで騙されるかもしれないが、本作はSFアクションでは無く、重厚なSFドラマとなっている。帰還した宇宙飛行士の体内にエイリアンがおり・・・というあらすじであるが、未知の生物を倒す為に奮闘する作品ではなく、主人公の女性医師の目線で、宿主ではあるが至って健康そうな宇宙飛行士とエイリアンをいかにして分離させるかという物がメインとなる。あまり描かれた事の無い、視点の違う作品だ。
それだけで終わらせず、そこに潜む陰謀と、徐々に明かされる宇宙飛行士とエイリアンの謎。とても引き込まれた113分であった。無機質な空間に現れるエイリアンも中々不気味であり、完成度の高さがうかがえ、登場シーンはそれほど多くないが、殺人シーンはかなり残虐であり、インパクト抜群である。物語の舞台はほとんどが研究所内部であり、動きの少ない作品だとは思うが、重厚感のある完成度で引き込ませてくれる。ハリウッド程の予算は投じていないだろうが、全体的にクオリティの高い作品だ。映像技術ももちろんそうだが、丁寧な描写と、質の高い空気感。これが異彩を放っている様に感じる。 舞台が現代ではなく、ソビエト連邦時代というのも上手く生きており、軍事力強化を念頭に置く軍関係の出来事や、囚人らに対する扱い等、どこか皮肉にも思える構成も面白い。
厳重な警備が必要な研究施設にも関わらず、警備のレベルが甘かったり、細かいところを気にするとキリが無いが、何とも言えないロシア映画独特の世界観を楽しんでもらいたい。
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