「名作だが、傑作の一歩手前のサイコスリラー(後半若干ネタバレあり)」キャラクター kouさんの映画レビュー(感想・評価)
名作だが、傑作の一歩手前のサイコスリラー(後半若干ネタバレあり)
Amazonプライムにて視聴。
これは面白い。
殺人鬼から生み出されたキャラクターが、殺人鬼のキャラクターを創っていく。
現実とフィクションの狭間で、何が何処へ影響するのか?
その作り方がとても丁寧だ。
若干、血液が飛び散るので、血が苦手な人にはおススメできない
主演の菅田将暉の演技も、とても良いし、小栗旬の刑事役も妙にハマっている。
何よりも今作はFukaseの怪演が光っている。
このキャスティングは英断だったし、Fukaseの役作りが見事と言える。
ただし、エンディングに、もう少し衝撃が欲しい印象。
キャラクターと言うタイトルを回収するようなエンディングなのだが、
この題材であれば、「告白」や「帝一の國」のような演出を望んでしまった。
もう少し、ラストに衝撃が来るような演出であれば傑作と言える作品になっただろうに・・・。
出来は滅茶苦茶良いので、暗めの部屋で集中してみて欲しい。そんな作品です。
※以下 若干ネタバレしながら語ります。
今作のエンディング
夏美が外に視線を感じるカットから、
病室の圭吾と真壁警部補のやりとり。
裁判官が両角に対して「誰として裁かれていると思いますか?」
両角は「僕は・・・誰なんだ?」の一言。
今回の作品の肝は、キャラクターを生み出す側と影響を与えた側が、お互いに作り出した作品。
正に共作である「幸せな4人家族に対する悪意の塊 殺人鬼ダガー」と呼ばれるキャラクターの芯が、誰にあったのか? だと思います。
真壁警部補が、漫画の最終回のページと、現場のシーンを見比べて、存在が入れ替わっているような印象を受けるシーンが象徴的でしたが、あのシーンが最後にフラッシュバックするような演出が欲しかった。出来れば刺し合うシーンでの明言は避けて、最後に持ってきて欲しかった・・・。
あの漫画のコマと「僕は・・・誰なんだ?」のセリフ。圭吾と両角の二人の表情を、うまく組み合わせてくれると最後に、一気に落とされるような感覚になったかも。
エンドソング後の刃物の音は秀逸だ。キャラクターの影響が日常に続くような・・・そんな気持ちにさせられたので良かったです。