「Fukase演じる異常キャラを存分に味わう映画」キャラクター Lucky!さんの映画レビュー(感想・評価)
Fukase演じる異常キャラを存分に味わう映画
この映画は、猟奇的殺人の犯人がフカセだと最初から分かっていて、最終的に誰が狙われるのかも想像できるようになっている。つまり、映画が面白いかどうかの大半はフカセにかかっているわけだ。
その点、フカセはよくやった!いわゆるステレオタイプの殺人鬼じゃなく、一見気弱そうで、でも人懐っこくて、謙虚で穏やかに話すのに、明らかに普通ではない雰囲気を醸し出していて、そのうち急にキレたりするんじゃないかという危うさも味合わせるという、絶妙な演技を見せてくれた。
なんでも、劇中フカセが住んでいるアパートの壁に描かれた不気味な絵もフカセ自らが書いたそうで、フカセの芸達者ぶりがうかがえる。過去に精神疾患を経験し、後にバンド名のきっかけとなる「(俺の)世界は終わった」という絶望感を味わったことのあるフカセであり、それだからこその表現力だったのかもしれない。
では、フカセ以外はそれ程でもないのかというと、その他の主要キャラ4人の存在も作品に重みと安定感を与えており、これはキャスティングの妙とも言える。ストーリーもまた、殺人鬼の意外な行動や、意外な犠牲者の存在などにより十分楽しめる。さらに殺人現場や職場などの作りも細部までこだわっているので、リアリティーが感じられる。ただし、殺人現場はリアルなだけに、苦手な人もいると思うので要注意。
というわけで、しっかりと作られた見ごたえありの映画でございます。
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