劇場公開日 2021年6月11日

「サイコ映画はもういいです」キャラクター 柴左近さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0サイコ映画はもういいです

2021年6月28日
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鑑賞方法:映画館

怖い

単純

興奮

鑑賞中はドキドキハラハラして面白い。
しかし、作中の菅田将暉演じる漫画家・山城の「魅力的な悪役を作れない」という弱点をまんまとこの映画が体現してしまっている。

やたらサイコパスって言葉を使いたがるけど、実在する大半のサイコパスの方は普通の生活を送り目立たず過ごしているわけで、「とにかくめっちゃめちゃに狂ってる」=サイコパスという描き方にはいい加減うんざりする。

途中から唐突にカルト宗教ぽいものを仄めかし、最後までその要素を回収せずそれどころかその要素に投げっぱなしなラスト。
これは後味の悪いラストとと言うより単なる消化不良でもやもやするラスト。

こういう映画のレビューには必ず「se7en」との類似点を挙げる人がいるが、プロットは刑事ものは大抵同じなのでともかく、それ以外は全く違うのは明白ではないか。
「se7en」は当時は壮絶な残虐描写、結末で奇異な映画として話題になったかもしれないが、映画の展開としてはとても緻密で、当たり前のことをやってるだけである。当たり前に撮れば十分恐い題材なので、余計な要素は入れていない。
「se7en」以降は、追いつけ追い越せとやたら要素を増やすのだが、そうするとサイコパス自体の恐怖が薄まってしまう。
今作も謎のカルト設定のせいでfukaseよりもカルトの方が恐い印象を抱いてしまった。

柴左近