「この映画を戦争映画と捉えると... 難アリ⁉」キル・チーム Puti Nakiさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画を戦争映画と捉えると... 難アリ⁉
"Jap" と呼び、アフガンの方たちを "goat fu*kers" と呼ぶ人たち...
Task & Purposeによる最近の軍隊、特にアメリカの若者が陸軍に入隊する動機についての調査より。(Task & Purpose:主に米軍、およびより一般的な防衛を対象としている出版物)
「アメリカ人は、国、家族、名誉など、さまざまな理由で陸軍に加わります。しかし、入隊した兵士についての新しい調査によると、中心的な動機は比較的単純です:お金のためです。」ただし、使命として入隊する約9%は医療関係とされている。
We kill people. That’s what we do. Do you have a problem
with that?
本作品『キル・チーム』を製作したダン・クラウス監督のバイオを見ると主にドキュメンタリー畑を歩いてきた方で2013年にこの映画『キル・チーム 原題:The Kill Team』と同名のドキュメンタリー映画を製作している。そのドキュメンタリーも自身のピーピングトム的な性格から見たけれども、最低でも3人のアフガニスタン人をスリル・マーダーと呼ばれる殺人を犯した張本人で中心人物であるギブス二等軍曹(1週間に及んだ軍法会議の末、終身刑を言い渡される。ただし、10年後には仮釈アリ)のコメントがとれているかどうかだけで興味が湧いた経緯がある。そんなの無理な話しだった?
Dan Krauss’ “The Kill Team” is a retelling — not a remake — of
his similarly titled 2013 documentary about
the Maywand District Murders.
ドキュメンタリー映画のサガとして、タイムマシーンがない限り、その事実そのものを描くことはできないし、監督がNPRのインタビューで述べているように「答えられない質問、不可能な選択、特に私たちがどのような人間であるかを試されるような難題に直面している人々に本当に興味が惹かれます。人が正しいとか間違っているとか区別できるのに、先の見える可能性のある決定をすることを余儀なくされたときの私たちの行動をたとえそれが正しいことが明白な事を意味するとしても、私たち自身に害を及ぼすことがあります。そして、それらの様々な場面の道徳的優先順位そのものが私にとって魅力の対象です。」またThe Moveable Fest に対しては、「ドキュメンタリーは、しばしば非常に客観的な映画製作であり、これは私が製作した物語を客観的な視点からとらえ、より内面的で感情に基づいた方法で主観的な体験を生み出そうとする機会でした。」
つまり、いくら当事者のインタビューやアーカイブス検証を重ねたとしてもあくまでも客観的な内容だけにとどまり、本人の当時の様子や内面的な感情を描き切れないドキュメンタリー映画製作者ならではのジレンマが本作品を作るにあたって彼らしい映画観なのかもしれない。
"The only thing necessary for the triumph of evil is
for good men to do nothing" 「悪が勝利するために必要なたったひとつのことは、善良な人たちが何もしないことである。」.. エドマンド・バーク(イギリスの政治思想家、哲学者、政治家)
この映画は、戦争が良心の魂を取り除く方法をはっきりと描いている...
"Kill one man, and you are a murderer. Kill millions of men,
and you are a conqueror. Kill them all, and you are a god." 「一人を殺すと、あなたは殺人者になり、何百万人もの人を殺すと、あなたは征服者です。すべてをせん滅すると、神になれます。」.. ジャン・ロスタン("Thoughts of a Biologist". 1939)
と同じようなセリフがチャップリンとしては珍しいコメディ色の薄い映画『殺人狂時代』でも
"Wars, conflict - it's all business. One murder makes a villain; millions, a hero. Numbers sanctify, my good fellow!" 「戦争や紛争、これは全てビジネス。一人の殺害は犯罪者を生み、百万の殺害は英雄を生む。数が(殺人を)神聖化する!」
The only... The only distinction is : What was in his brain at
that moment? Was he a willing participant or not?
2013年のドキュメンタリーの中での軍事法廷の弁護士の言葉「自分から進んで狂気に走ったのかが、裁判の行方を左右する」という言葉に個人的には、道義的責任はあるかもしれないけどこの映画『キル・チーム』を見ていただければ、狭い軍隊の中で孤立する姿を見れば彼、アンドリュー二等兵の志願して入隊した軍というモノに対する愛国心のやるせなさが理解できるかもしれない。
今のところ他国の軍や自衛隊任せで戦争を経験することはないし、出来ないニッポン国.. そんな派手な戦争映画ばかり見ている人民に対しては、毛沢東の造語 "反面教師" という言葉を思い出す... この映画を現代のパワハラの反面教師として置き換えるといい感じの映画かもしれないけれども、これを戦争活劇映画と捉えるなら物足りないのかもしれない。