「気持ちのいいラストシーン」パーム・スプリングス 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
気持ちのいいラストシーン
タイムループを繰り返すところは、映画「ハッピー・デス・デイ」みたいだ。微妙にエロティックなところも似ている。アメリカ映画だから不倫に厳しいところもそっくりである。違うのはタイムループを繰り返すのがふたりであること。何度も繰り返すうちに二人の関係性が深まり、夫婦のような存在になる。つまり、本作品はタイムループものであると同時にラブストーリーでもあるという訳だ。
主人公ナイルズがすっとぼけていて、いい味を出している。相手役のクリスティン・ミリオティが演じたサラが「ハッピー・デス・デイ」でジェシカ・ロースが演じた主人公ツリーの役割だろうか。途中でナイルズがサラに告白する台詞が一連の流れからして理解不能だが、それを除けば大体の理屈はわかる。
繰り返す11月9日がサラの妹の結婚式の当日というアイデアが光る。その他大勢のモブキャラもそれなりに役割を果たしていて、結婚式が大いに盛り上がったり、台無しになったりする。ナイルズがタイムループに飽きないのはそこだろう。
ナイルズがサラに説明する形で物語がどんどん進むから飽きずに観続けられる。物語のテンポもいい。香水や他人のプールの伏線もきちんと回収されて、気持ちのいいラストシーンになる。続編はないと思う。
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