劇場公開日 2021年3月5日

  • 予告編を見る

「物語も、終わり方も良い。」野球少女 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0物語も、終わり方も良い。

2021年3月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

あぁ、水原勇気がいたのに、ナックル姫いたのに、野球大好きな国なのに、韓国に先越されてくやしー!!
ってくらいに、好き!この作品。

経験者が見たら「嘘ん!」な展開はあるそーなんですが、気にならなかったっす、僕は。
本作の魅力の一つは覚悟を決めた人間のストーリー。
フロンティアの着実な一歩。
足の親指に渾身の力を込めて踏み進めていく感じが好き、ロッククライマーのように頼りなげな指先に全体重をかけながら、しかし着実に登っていく感じが好き。
三歩進んで二歩下がる感がよいのです。茨の道感が。
全部にドラマがあり、セリフも泣かせます。
僕イチのセリフはコーチとトライアウトについての会話してるときに、コーチに言うアレです。
泣きました、何故か。

そして、もう一つは性別で判断されてしまう世の中、周囲の目の中でも、抗い信念を貫いていく姿に感銘を受けます。トライアウトのクライマックスはまた落涙です。
それは信念は人をも巻き込み動かせるんだ!って勇気みたいなものが僕の中に溢れてきたから。

プロスポーツは勝ってナンボ、戦力になってナンボ。
アマチュアと違い、商売ですからシビアになります。
ですから昨今言われる性別による差別とは異なると思います。が故に本作は競技者の闘いに終始しているがゆえに、熱く清々しいのかもしれません。

ウダウダ書いてる内容を読み直したら、感動スポ根?みたいな印象かもしれませんが、違います。
地に足がついたストーリーで描かれるアスリートの物語です。競技者として闘い、子供として苦悩し、慣習に抗う一人の女性の物語です。

信じれば道は開ける。
ラスト、彼女に瞳には何が映り、何が宿ったのでしょうか?

秀作です。

バリカタ