「ムーミン像とは想像もつかぬトーベの内面。」TOVE トーベ 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
ムーミン像とは想像もつかぬトーベの内面。
ムーミンみたいに可愛くてファンタジックな映画を想像してたので、
正直言ってガッカリでした。
祖国(フィンランド/スウエーデン)の国民的画家で作家で芸術家のトーベ・ヤンソン。
1914年に生まれ2001年に85年の生涯を閉じました。
世界中から愛される「ムーミン」シリーズの作者です。
その映画はトーベの30歳から45歳頃の若い時代の彼女を描いた映画です。
たしかに妻ある議員と恋愛関係だったり、
市長の娘ヴィヴィカの誘いに乗ったりとレズビアンで、性的に奔放な人だったのでしょう。
でもこの映画、トーベの真の姿に迫っているでしょうか?
トーベの芸術家としての並外れた情熱、
「ムーミン」が売れ過ぎたことの苦悩、
勤勉すぎるほど働いた姿。
自然界や生き物をどんなに愛し、好奇心いっぱいで観察した姿。
(並外れた感受性なしに、ムーミンの物語が書けたはずはありません)
ラスト近くです。
トーベの部屋を強くノックするトゥーリッキ。
この映画が終わるその後の、後半生を共にした女性で、
トーベ1人では制御出来ないほど巨大化した「ムーミン関連事業」に疲弊して、
遂には「ムーミン」を憎むまでになったトーベ。
疲れ過ぎたトーベを支えて助けたパートナーがトゥーリッキでした。
2020年(フィンランド/スウェーデン合作)監督:サイダ・バルリート。
トーベの人となりが断片的には分かるのですが、
一番大事な家族のこと。
特にムーミンママのモデルの実母。
トーベが子供時代に夏休みを過ごした海辺の生活。
そして売れ過ぎたことでバッシングを受けた「ムーミン騒動」に触れることは、ありません。
映画は、
1954年にロンドンの夕刊誌「イブニング・ニュース」の漫画連載の契約を結んだこと。
ヴィヴィカと唐突に別れたこと。
やがてパリの展覧会でグラフィック・デザイナーのトゥーリッキと出会ったこと。
そして、
「新たな旅立ち」と字幕が出て・・・
終わるのです。
「ムーミン」シリーズ
私も漠然としか知らず、今回、急遽、
「ムーミン谷の仲間たち」2019年(フィンランド/イギリス)を観ました。
トーベの「ムーミン」は自然界の宝庫です。
彼女は哲学的なまでに自然界の植物、生物を観察して愛した。
主人公のムーミントロール(=カバではなくて、トロールという妖精です)
トロールの大親友で旅人で春告人のスナフキン、
悪ガキのリトルミイ、
リトルミイの母親・ミムラ夫人、
そして架空の生き物である竜とスティンキーたち。
ホント、実にイキイキして魅力的なキャラクターたちですね。
この映画はある程度、トーベ・ヤンソンの若い日の素顔を知るとっかかりになります。
原画や創作する姿、交友関係、人となりの一面は分かるかと思います。
結局は、トーベ・ヤンソンその人より、
「ムーミン」の童話、漫画、絵本、アニメ、小説に親しむことが一番。
そんな気持ちにさせられる映画でした。
やはりビビらせてしまいましたね。ごめんなさい。今後そのような気分になったら、あらかじめ高らかに宣言してから共感ボタンPUSHスタート!します。それも怖いですね・・・
琥珀糖さん、コメント&沢山の共感ありがとうございます。特に私の大好きな映画を取り上げて共感頂きとても嬉しいです!琥珀糖さんは映画を沢山ご覧になっているので、昔ご覧になった映画順、とか、高評価されてるもの順、とか、色々してみました。それで発見があったり、面白さを感じるポイントが私とおんなじだ!とか、なるほどー、そういった見方もあるな!など楽しみながら、ゴンゴンと共感ボタン押してました。怖がらせてすみません!