「彼女はいかに自由を愛し生きたのか(ポスターより)」TOVE トーベ 風の又三郎さんの映画レビュー(感想・評価)
彼女はいかに自由を愛し生きたのか(ポスターより)
10/5 映画を見終わったとき、これは絶賛の嵐だろうと思いました。ところが低評価のレビューがあってビックリ。 低評価の理由は、ほのぼのとしたムーミン誕生の話ではないことと、性描写が多いエロ映画だということのようです。私も1回目に見たときは、PG12(実際はG指定)で良い子のみんなには見せられないなと思いました。ですが2回目に見たあとは考えが変わりました。映倫の慧眼に感服です。詳しくは最後に書きます。
トーベの生き方を見て、芸術家は一般人(?)より自由を求める気持ちが強いから大変だろうと思いました。偏見かもしれません。芸術家として評価されるよりムーミンの作者として評価されてしまうことへの苛立ち、愛するものが自分だけを愛してくれないことの悲しみと戸惑いがすごく伝わってきました。そして自由を愛するトーベがそれらのことから解放されるところもよく描かれていたと思います。
私はムーミンのアニメも小説もまったく見たことも読んだこともなく、当然作者も知りませんでした。2年ぐらい前にムーミンがカバではないと知って驚いたぐらい知りません。ムーミンに興味がないから、その作者の物語の映画を見る気も起きませんでした。たまたま見たい映画がなかったので暇つぶしに見ただけでした。今は見てほんとに良かったと思ってます。
ポスターがまた素晴らしい。軽やかに踊るトーベとその投影であるムーミンのシルエット。 スナフキンの言葉 『大切なのは、自分のしたいことがなにかを、わかってるってことだよ。』 『彼女はいかに自由を愛し生きたのか』。 観賞後にこのポスターを見て、映画の全てを表していると思って感服しました。
最後に性描写が多いエロ映画という件ですが、全然エロ映画ではありません。2回目に注意して見ましたが、抱擁、キス、SEXシーンを全部合わせても5分いかないと思います。濃厚なSEXシーンなど全くありません。キスやSEXもあっさりで普通のラブストーリーやラブコメと変わりません。一般映画では女どうしのレズシーンは見かけないのでインパクトがすごく強いだけです。もしこの映画で描かれた女どうしのシーンが男女のシーンだったら全く印象に残らないでしょう。それからトーベの恋愛がすごすぎます。 男との恋愛も、女との恋愛もどちらも不倫、しかも同時進行の二股です。そこにヴィヴィカが誰とでも寝てしまう設定が加わります。これをムーミンが大好きで、ほんわか映画を期待していた人が見たらブチキレてクズ映画に決定ですね。さきに映倫の慧眼に感服と書きましたが、あらためてG指定と言われると当然であることがわかります。
2021/10/5(火),11(月)眠,13(水) city1
11/11(木) ヒューマントラスト有楽