「ミニマルなキャストで見せる、不条理ながら一本筋の通ったベルギー版『世にも奇妙な物語』」ビバリウム よねさんの映画レビュー(感想・評価)
ミニマルなキャストで見せる、不条理ながら一本筋の通ったベルギー版『世にも奇妙な物語』
教師のジェマと庭師のトムは新居を探して仕事終わりに不動産屋を回るのが日課。ある日ふらっと足を踏み入れた不動産屋で紹介されたのは郊外の建売住宅地域“ヨンダー“。あまり気乗りのしなかった二人だったが、営業マンのマーティンにとりあえず見るだけでも誘われて断れずに内見に同行する。一通り物件を見終えるとマーティンの姿はなくなっていた。不審に思った二人は車で帰ろうとするがいつまで経っても住宅地から出ることが出来なくなっていた・・・。
ジュリアン・ムーア主演の『フォーガットン』を彷彿とさせる不条理なドラマは思春期から慣れ親しんだショートショートの世界。得体の知れないキャラがゴロンと転がす物語のオチ自体は序盤でさりげなくヒントが放り込まれ、あれこれってひょっとしてとオチに気付いたところで終幕となる粋な構成。ヒロインが吐き捨てるセリフが要所要所でフックになっているので不条理ながらも一本筋が通った満足度の高い作品でした。どんな映画に出てもほぼ同じ芸風のジェシー・アイゼンバーグはいつも通りの安定感でしたが、ヒロインのイモージェン・プーツが醸す母性のようで母性ではない感情が印象的。シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀女優賞を受賞したというのも納得の貫禄でした。
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