「これはミステリーというより、ラブストーリーだ!」返校 言葉が消えた日 caduceusさんの映画レビュー(感想・評価)
これはミステリーというより、ラブストーリーだ!
この映画「返校」はホラーゲームを元に実写化され、ジャンル分けすると、ダークミステリーということになるらしい。
しかし、この映画は、ホラーやミステリーの顔をしているが、その本質は、先生と生徒のラブストーリーの様相を呈している。
ホラーとしては、過剰なほどの演出はない。
ミステリーとしては、国民党の監視を逃れ、発禁本を書写する読書会グループの動向が、時系列を行き来し、抽象的な描写で描かれていく。
そして、そこに折り重なりながら、主人公の女子生徒ファンと、教師チャンのラブストーリーが展開していくのだが、女子生徒ファンの父が国民党員であったことから、ファンとチャンの愛は皮肉な方向へと向かっていく。
ミステリーとしては、観てのお楽しみだが、ラストシーンも、あくまで抽象的に、そして、せつなく描かれていく。
ホラーとしての描写は、よくわからないが、抽象的なストーリー展開は、丁寧につくられており、最後にラブストーリーとしての顔を見せるあたりは、まるで、人間としての、すべての迷いや醜さを取り去り、最後の最後に残ったファンという女性の純粋な想いを見せられたかのような余韻を残す。
ぜひ、劇場で観てみてはいかがだろうか。
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