「奇妙に開放的」リバー・オブ・グラス 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
奇妙に開放的
ケリー・ライカート監督の長編デビュー作がU-NEXTで観られるようになっていたので、「ファースト・カウ」鑑賞の前に観てみた。30歳の主婦が自由な生き方を夢見ている。そんな時に、うだつの上がらない男と出会い、あてのない逃避行に出てしまう。なんだか「ボニー&クライド」っぽいが、あんなに格好良くはないのだ。というか、ほとんど何の取り柄もなさそうな二人が、「ここではないどこか」に憧れて、「何者かになりたくて」行動するが、全くどこにもいけないし、何者にもなれない。そう書くと、閉鎖的な物語っぽいのだけど、奇妙な解放感がある。
なぜかこの映画、格好良くなさがすごくいいし、どこにも行けないくせにちょっと救われたような気分になれる。アメリカ南部の雰囲気のせいだろうか。
バーバラ・ローデンの「ワンダ」に似ているという人が多いみたいだが、確かに雰囲気は似ているし、家庭に縛られていた女性の自由を求める逃避行という点でも共通している。
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