「出来損ない息子ザムンダへ行く」星の王子ニューヨークへ行く2 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
出来損ない息子ザムンダへ行く
劇中の台詞で、
「最近のアメリカ映画はヒーローものばかり。作らなくてもいいリメイクや続編で名作を台無しに」
でも中には、作られて嬉しく懐かしい続編もある。
本作もその一本だろう。
エディ・マーフィ主演1988年の人気コメディ、33年ぶりの続編!
何年前か映画ニュースで続編が作られる事は聞いていたが、本当に作られるとは…。
コロナで劇場公開が見送られ、配信でのリリースとなり、レンタルでの鑑賞となったが、それが惜しい。
正統なる続編!
33年ぶりとなるが、オリジナル・キャストの続編が嬉しい。
エディを始めアーセニオ・ホールに、リサやその父親や“マクドゥーウェル”の従業員や執事、ジェームズ・アール・ジョーンズもカムバック。
王妃様役の女優さんは亡くなられてしまったが、ジョーンズ卿のご健在が何より。
それにしても、よくぞ再集結した。やっぱ続編はこうでなきゃ!
そして、それに相応しい話。
アキーム王子がリサと結ばれ、30年以上の月日が流れ…。3人の娘に恵まれ、ザムンダ王国で幸せに暮らしていた。
…が、問題が。
隣国の独裁者、イジー将軍。何かと挑発してくる。
そして、後継者。
ザムンダ王国で王位を継げるのは男のみ。アキームの娘は王位を継げない。
何だか、何処ぞの国みたい。(ちなみに私は、女性天皇は賛成派。皇室の歴史や伝統や法は分かるが、でないと皇室存続の危機。今こそ変える時!)
父王は病に伏せ、余命幾ばくも無く…。
そんな父王から、衝撃の事を告げられる。
何と実は!アキームには息子がいる…!
…って本人、全く心当たりナシ。身体を許したのは妻のみ。
ところがどっこい、セミがある秘密を。かつて花嫁探しでニューヨークへ行った時、リサと出会う前、バーで出会った女性とクスリで酩酊状態になり、その時に…。
その女性とはそれきり。アキームも生まれた男児もお互いの存在を知らず。
しかし、正統なる王位継承男子。
程なくして、生存葬の最中に父王が崩御。
親国王となったアキームだが、後継者問題がより一歩近付く。イジー将軍が自分の息子と王女を結婚させようと企む。
アキーム、またまた一代決心。再びニューヨークへ! 今度は花嫁ではなく、息子を探しに。
という訳で、30年ぶりにやって来ました、ニューヨーク!
勿論、セミをお供に。
大きく変わったニューヨークだけど、変わってない所も。
あの懐かしの床屋。
店主も常連客も歳取ったけど、毒舌は変わらない。二人の事をちゃんと覚えていた。(まだボケてなかった)
勿論ここも、エディとホールが二人で複数役。毒舌ジョークも。
「アメリカは変わった。黒人が大統領になった」と、感慨深いセミ。
すると、毒舌じいさんズは、
「その後が地獄」
「またナチスの時代になった」
この毒舌じいさんズにかかれば、渦中の“独裁者”の事を何と言うだろう。
お喋りはここまでにして、本来の目的。
国のババが描いた似顔絵を頼りに息子が居るらしき場所を聞き出し、遂に父子の対面の時…!
スタジアムの前などで胡散臭くチケット販売をしている青年。
名は、ラベル。彼こそ、アキームの実子…?
当の本人は、何だこのオヤジ…?
でも家に帰って母親に会わせたら、あれまあ、あの時の“王子様”…!
あの時“ヤッてしまった”のもラベルが実子なのも確かな事。
お前こそ、我がザムンダ王国の正統なる王位後継者。
貧乏青年の突然のシンデレラ・ストーリーならぬプリンス・ストーリー。
そんな彼をアキームは国へ連れて行くのだが…。
ラベルはチョー今時の青年。
一緒に付いて来た母親もチョーうざい。
王位継承者として、本当に品格あり…?
妻や娘たち(特に長女は不満)の反対を押し切って、プリンス修行。
幾つかの試練をクリアして、晴れてプリンスに。
ところが、落第生のラベル。何やっても王位継承の資格ナシ…?
理髪師の若い女性ミレンベと交流を持つ。ここ、察しが付く。
彼女からの助言。伝統やしきたりに縛られず、自分自身で花嫁を探しにニューヨークへ行った“アキーム伝説”。
誰かを目指すんじゃなく、ありのままの自分で。
すると異端ながら、王子の素質が。
試練もクリア。晴れて王子に。
いつの間にか“ファミリー”として皆仲良くなったが(妻リサとラベルの母親も)、トラブル発生。
とあるパーティー。
そのパーティーは、ラベルとイジー将軍の娘のお近付きの場であると知る。
さらに、アキームとイジーが勝手に決めた政略結婚の駒である事を聞いてしまう。
ラベルはミレンベを連れてアメリカへ。
身勝手さに憤慨するが…、初めて気付く。
いつの間にか自分が、古いしきたりに縛られたかつての父王のように石頭になっていた。
自分はそれを変えたではないか。
結婚は愛する人と。
ラベルは、かつての自分。
そうは分かってても、一国の王として、父親として、悩む。
そんなアキームに、義父がナイス助言。
息子を追って、ニューヨークへ。
身内だけのラベルとミレンベの結婚式。
そこにやって来たアキーム。
お互いの気持ち、本心をぶつけ合って。
国王としてではなく、一人の父親としてのアキーム。
ラベルの恋路。
ザムンダ王国の未来は…?
アキーム不在を狙って、イジーが乗り込んで来る。
対したある人物。その堂々とした姿、王位継承に相応しい。
カビの生えた伝統など、そう、今こそ変える時!
前作は当時としては珍しい黒人のおとぎ話コメディだったが、本作は現代に作られただけあってアップデート。
今のアメリカ社会に於ける黒人や女性の描写も現代的に。
国と国のいがみ合い。
笑いの中にメッセージを込めて。まあ最後はお約束のラブ&ピースだけど。
もうちょっと毒気も欲しかった気もするが、やはりこのご都合主義で予定調和であっても、ほのぼのとした作風がいい。
欲を言えば、前作では名掛け合いを見せたエディとホールのやり取りが少なかったかな。まあ本作は、親子の話だから仕方ないけど。
最近復活の兆しのエディだが、新参加のウェズリー・スナイプスも。悪者なのか憎めない奴なのか、笑演。
ラベルの母親役のレスリー・ジョーンズが強烈インパクト。
前作は有名になる前のサミュエルやキューバ・グッティングJr.が出演していたが、本作はアノ名優がゲスト出演。一応本人役だが、ザムンダ王国に招かれたかつて演じた事ある“マンデラ”のパロディーでもいいかも…?
さすがに前作の方が好きだが、本作も上々。
見る時は前作と併せて。その方が絶対に面白い!
エディは第3作についても言及してるらしいが、その時はまず、邦題をどうにかしなくちゃ。
もう国王なのに、『星の王子ニューヨークへ行く3』じゃねぇ…。
だって本作、実際の話はレビュータイトル通り。
まあ、こればっかりは…。