「経験や環境が価値観に釣り合うか、硬派なヨーロッパ映画のような1本」彼女来来 たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
経験や環境が価値観に釣り合うか、硬派なヨーロッパ映画のような1本
なんだろう。経験なのか、環境なのか…転じて結するものに慣れすぎていることもあって、咀嚼できず。監督のトークショーもあってようやくというところ。
この作品の着想は、監督が付き合っていた彼女に「君しかいない」ことを、元カノにも、さらに元カノにも…と繰り返していたことに気づいたことから。じゃあ、人って本当に好きな人の全てを見ているのか?と突く。よって、中身はかなり閉塞的。それが「分からないけど…面白い」になるか否かを狙っているという。
となると、受け手が受ける影響は、経験や環境によって評価はかなり左右される。硬派なヨーロッパ映画のように、心の移ろいが表情に出て、2人の彼女に未練と恋が天秤として釣り合う。
そういう意味では、監督のおっしゃっていた、顔のゲシュタルト崩壊がようやく理解できる。キャスティング会社で勤めている佐多に、彼女の変化は捉えられていたのか。そうした関係性の曖昧さが不気味で硬い作風を構築している。
ただ、結局のところ、繊細で静とバイオリンに絡めた悲壮を纏っているので、予備知識があっても好みではなかったかもしれない。監督の着想と具現化への努力が伝わったトークショーもあって満足。サインももらったことだし。ただ、ハマらなかったという意味でこの評価に留める。
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