「自己肯定感の薄れているこの時代で」ボクたちはみんな大人になれなかった tackさんの映画レビュー(感想・評価)
自己肯定感の薄れているこの時代で
普通に生きてきたのに、こんな事になってしまった。
多くの人が思っているだろう2020年以降の世の中を表しているような作品。
大人になれなかった、という言葉は世の中に適応することなく生きてきた、ともとれるし、
もっと先を進めるはずだったのに、不本意に止められてしまった現代をも表しているのかと思った。
ラスト、自分の思い出の場所を振り返っていく佐藤(森山未來)の姿は印象的だった。
今の自分を作ってきたのはやはり過去なのだ。『普通だな』とつぶやく佐藤。『普通』とは、大多数だな、とも考えられるが、プレーバックした自分自身を観て、まあよく生きてきたな、という自己肯定にも取れた。生き辛くなってしまった現在、少しでも自己肯定感を感じられるラストシーンは極めて印象的だった。早くこんな日々が終わってほしい。でないと、これ以上生きるのが辛くなるだけだ、と私は切に願う。
森山未來演じる主人公、佐藤よりは少し年齢は若いが、自分も95年から現在は、物心ついてから今日までの日々なので、必然的に自分が生きてきた25年を思い出してしまった。
きっと自分なら小沢健二じゃなくて、CharaやYEN TOWN BAND、Cocco、globeなんかが流れるだろうな。シネマライズやスワロウテイルのポスターは本当90年代のカルチャー。原宿や道玄坂の雰囲気もよく再現したと思う。
ただ、推しの女優のベッドシーンはあまり見たくなかった。たまに『これ、必要?』というラブシーンがあるので、ああいうのなくなれば良いのに、と言うのが個人的な見解。
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