「46歳。つまらない大人になってしまった。」ボクたちはみんな大人になれなかった 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
46歳。つまらない大人になってしまった。
これはね、ポケベルとかバブルとか、そういう世代に向けて作られた映画。そしてさらに、「今」を悩み、「過去」を後悔している人間の心をえぐる映画。
「ふつう」がいいとか、物足りないとか、20代、30代、40代、その時その時の自分にとって違うもの。「ふつうがいい」は、つまらないのかな。そう思ったら泣けてきた。ふつうがつまらないとは思わないけど、そこを悩んでいる佐藤と、僕自身こそ、つまらない大人になったなと思った。なれないものにはなれはせず、今の自分が本当の自分。
書きたいことはごまんとある。だけど、それはすべて自分の人生の言い訳のようで、なんか悔しくて書けやしない。この映画が刺さらないひとは、言い換えれば幸せな人生を過ごしているよ。
おまけに、さんざん本編でオザケンとかでノリノリだったのに、エンディングでキリンジの「燃え殻」を流してきた。(たぶん原作者のペンネームもこれからとったのかもしれない。)ヤスの歌声が、傷口に擦り込まれる塩のようにざらざらと耳にこびり付いて涙があふれた。
そして、一番好きだった人の声で、
そちらはどんな人生でした?
と聞こえた気がした。
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