「あの頃のボクに会いたい」ボクたちはみんな大人になれなかった やまざきさんの映画レビュー(感想・評価)
あの頃のボクに会いたい
原作がとても話題になっていたので1年ほど前に一度手にしたことがあるのですが、そのときはスーちゃんが出てくるあたりで挫折してしまいました。今日、時間があったのでNetflixで再生したところ、あっという間に引き込まれてしまいました。
少し暗くてなかなか器用に人生を歩めないボク、サブカルに自分を染めることで自己肯定感を高めるかおり。二人の心の弱い部分が共鳴したからきっと強く惹かれあった。自分と恋人の姿を、気づけばかおりとボクに重ねて見てしまい、胸が苦しくなりました。
東京の少し汚くて、でもどうしようもなく感傷的にさせるネオンの光や朝焼けの色、そういう絶妙な空気感が素晴らしくうまく表現された映像だと思いました。
誰でも時折ふとエモーショナルな気分になり、過去のことを思い出したり、空気の匂いを敏感に感じ取ったりするものだと思いますが、それを言語なり映像なりで表現するのはとても難しいことです。この映画はボクの人生と感傷を描くと同時にたくさんの人の感傷を映像化していると感じました。
あと言わずもがな、森山未來さんの年代を超えた演技に驚愕しました。彼は想いのまま若返ることができるのでしょうか?
私はまだ若くて、ボクとかおりが出会った頃くらいの歳でしかないので、「大人」になってもう一度見たら何を感じるのか、楽しみです。
コメントする