「静かに刺さるか、薄っぺらさにガッカリするか。」ボクたちはみんな大人になれなかった せっちゃそさんの映画レビュー(感想・評価)
静かに刺さるか、薄っぺらさにガッカリするか。
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ここまで受け手のバックグラウンドによって印象が大きく変わる作品も珍しいですね。
物語として観るというより、映画という媒体を自分をシンクロさせて感じさせる。そんな作品なのかな、と。
刺さる側の人たちは、要所要所で自分の人生の物語を紐解きながらこの作品を観ることになるんですが、その頃人生の全てだった"あの頃"が自ずと蘇ってきて、悲しみとも喜びとも言えない不思議な気分にさせられます。
最後のシーンの「ほんと、普通だな」。
今振り返ってみると大したことが無かったのか、それとも大したことがなかったと思えるくらい様々な経験をして人間として成長したのか。
後者であってほしいし、おそらくみな後者なんでしょうね。「大人になれなかった」のではなく、「みんな何気なく大人になっていた」のだと。自覚はまったくないけど。
もう会うことのできない人、感じることのできない空気感を思い出しながら迎えるエンドロール。
「燃え殻」の優しい曲調が過去の自分に向けたレクイエムのように感じました。
落ち着いたら"あの頃"の思い出の地に足を運んで止まった秒針を進めよう、、、後ろを見ながら前に進む気にさせてくれた、そんな作品でした。
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