「その家、何か変です」レフト 恐怖物件 tabotyokoさんの映画レビュー(感想・評価)
その家、何か変です
意外な着地点で個人的には楽しめました。
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主人公テオ(ケヴィン・ベーコン)は、ひとまわり年の離れた俳優のスザンナと結婚し、女の子エラを授かる。
ところが、世間の目は冷ややかなものだった。年の差婚に対するもの、ではなく。
テオの前妻が不慮の事故で亡くなり、夫だったテオが疑われ、裁判まで起こされた。
結果は無罪だったが、世間は疑いの目を解いてはくれていないのだ。
(こんな状況に陥ったのは、テオは以前は有名銀行の有能な銀行マンだったため、裁判沙汰になった時は悪い意味で注目を浴びたせいだろう、と現妻のスザンナは考えている。)
そんな折、インターネットで、のどかな田舎の丘の上に建つ立派な一軒家の、民泊の案内が。
テオ、スザンナ、そしてエラはその一軒家を訪れたのだが、その夜から異変は起き始め……。
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結論 : 家自体が【悪魔の家】で、罪を抱えたまま善人のふりして生きている人間を引っ張り込んで、罪を突きつけて、その人から抵抗する力や逃げる意欲をそぎ落とし、家から出られなくしてしまうお話でした。
物語終盤のほうに、その悪魔の家から6km離れた場所に村があり、そこの八百屋さん的なお店のご主人が悪魔の家のことを教えてくれます。
ご主人曰く、「罪人はその家を見つけ出してしまう。…いや、違うか。…家自身が罪を抱えた人間を見つけ出すんだ」と。
(罪を抱えたまま生きる人間にだけ、不思議な力でその家に導かれるようですね、怖い…。)
恐らく、家に招かれたのはテオの方だったのでしょう。彼の罪は『実は前妻を○していた』でした。
薬をお酒で流し込んでお風呂に浸かっていた彼女は、意識を失い、そのまま湯船に頭まで浸かってしまった。そしてその様子を、銀行から戻ってきていたテオは見ていましたが、そのまま放置したとのこと。
理由は、前妻のことを憎んでいたから、とセリフにありました。
(前妻は資産家だそうで。
想像ですが、大人しいテオに対して、もしかしたら奥さんは性格のきつい人で、きつい性格ゆえに労りの言葉よりも、なじる・批難する・比較する・否定するなどの言葉の暴力が日常的にあった。そんな毎日に耐えかねての犯行か?と思いました…そこらへんの詳しいことは劇中にはなかったので勝手に仮設定を生やしてしまいました。実際はわからないので、あくまでたくさんあるうちの一つの想像、ということで…)
テオは、スザンナとエラを見送り、自らの意思でそこに留まり、そこでこの映画は終わります。(エラと今生のお別れするときのケヴィンの表情が哀しくて堪らず、また素晴らしく、ハイライト、でした。)
最後家族がバラバラになるのでバッドエンド色が強いと思いますが、罪と向き合えたことに関してだけは良かったと思います。