スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたちのレビュー・感想・評価
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壮絶な挑戦の歴史
スタントマンの映画ではディカプリオとブラッドピットが共演、落ち目の俳優と付き人のようなスタントマンの友情物語「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」が記憶に新しい、本作でも元祖「ワンダーウーマン」を演じたリンダ・カーターのスタントダブルを演じたスタントウーマン界のレジェンド、ジーニ・エッパーさんが登場、父親もゲーリークーパーのスタントをやっていたという筋金入り。
彼女の他にも「キャプテン・アメリカ/ウインター・ソルジャー」でスカーレット・ヨハンソンのスタントをしたエイミー・ジョンソンさん。
「マトリックスリローデッド」でキャリー=アン・モスのバイクチェイスを演じたデビー・エヴァンスさん。
「トゥルーライズ」でジェイミー・リー・カーティスの代役で激走する車からヘリコプターに飛び移る決死のスタントをこなしたドナ・キーガンさん。
現在のハリウッドスタント界を支えるハイディ&レネー・マネーメイカーの美人姉妹などベテラン、若手のスタントウーマンたちが登場してエピソードや苦労話を語ってくれます。
案内役は製作指揮も務めたミシェル・ロドリゲスさん、「ワイルド・スピード」「バイオ・ハザード」などでおなじみの女優さん。
皆さん異口同音に仕事への情熱を懸命に語ります。インタビューを主としたドキュメンタリー映画ですので途中で正直聞き飽きた感がよぎります、人数ではなくジーニ・エッパーさんの伝記風に絞った方が感情移入しやすかったかも知れません。
彼女たちの勇気ある挑戦、アクション映画への貢献にはリスペクトの念を抱きますが、外傷、骨折は日常茶飯事、半身不随や命を落とした人もいる世界、こんなことを言っては身も蓋もありませんが多少リアリティは薄くなってもCG加工に頼っても良さそうな気はします。
女性としてではなく、一人のプロとしての評価を
聞き手が誰なのかがわかりずらく、編集も少し雑と感じたのですが、テーマを抽出すると表題の通り「女性としてではなく、一人のプロとしての評価を」ということに尽きるのだと思います。
無声映画時代までは女優がそのままスタントも行っていたのに、「スタント」は仕事になるとわかった途端、男性の希望者が増え、女優のスタントも男性が女装して行うようになってしまったとのこと。
女性だから男性と同じ事が全てできると豪語するには、やはり筋力は足りない。
監督に「女性には危ないことはさせられない」という紳士然の人もいれば「初めから男性スタントを雇った方が楽」という人もいる。
女性が失敗すると「やっぱり女だから失敗した」と言われるが、男が失敗してもそうは言われないとバイクスタントの先駆者は言った。
全てのスタントウーマンたちはそう言われないために、必死で鍛えて技術を磨いている。
そして娯楽という映画のために、誰もが命を落としてはならないという当たり前の権利を当たり前に享受するため、「綿密にシュミレーションされていない危険なスタント」は断り、スタントに時間をかけて打ち合わせするよう求める。その視点はともすれば怪我上等、力業で事を進めようとすることに偏りがちな男性陣のスタントに、新たな視点をもたらす。多様性の重要性が伝わります。
忘れてはいけないのは、彼女たちは男性を追放したいわけでも復讐をしたいわけではなく、純粋にスタントという仕事が好きなだけ。
「女性だからではなくあなただから、仕事を頼んだと言われたい」と語ったスタントウーマンがいました。
すべて仕事を半々に、という平等さではなく、チャンスは公平にもらいたい、という時代を切り開く彼女たちの姿は清々しく胸が熱くなりました。
男女関わらず誰にとっても、性や人種によって、才能を発揮できる場が奪われないような時代がきますように。
バイオニック・ジェミー💓😍💓
映画黎明期は女性のスタントは女性が当たり前で、たくさんのスタントウーマンがいたが、映画がビックビジネスになると、女装した男性のスタントマンに職を奪われるようになったとは。え~でした。かなり、欧米社会って身勝手。男尊女卑でないかい? レディ・ファーストもみかけだけ?
バイオニック・ジェミーもスタントだったと知ってしまって、ちょっと夢が壊れました。
WILD WOMAN'S
スタントウーマンの裏側のドキュメンタリーを見れるということで非常に楽しみにしていました。最近MCUやDCなどのアクション作品にハマったのでそれらの裏側を覗けるなんて面白いに決まってる…!
映画館で見るほどじゃないかなーって感じです。84分にスタントシーンの数々が詰められているのかなとも思いましたが、インタビューが大半を占めており、後半まではあまり楽しめませんでした。
2000年代以前のアクション作品さ有名なものしか知らなかったので、ちょいちょい分からない作品がありましたが、現代にも肩を並べれるくらいのスタントは見応えがありました。DCとは別のワンダーウーマンがあったのには驚きでした。
テレビで見る分にはいいのかなという感じです。でもこれからもスタントウーマンは重宝されると思います。カッコいい作品、待ってます。
鑑賞日 1/26
鑑賞時間 14:05〜15:40
座席 I-5
アドレナリンジャンキー
普通の人には分からないだろうと思う。
STUNTって仕事の楽しさを。
だいたいからして頭のネジがどっか飛んでる。
燃やされたり、落っこちたり、撥ねられたりして楽しいと思えないのだろうと思う。
でも彼女達は笑う。
この仕事が好きだという。
骨が折れようと、傷だらけになろうとも。
「挑戦」という言葉が印象に残る。
そんな大それたものでもないとは思うけど、出来なかった自分は超えられる。
恐怖にすくむ自分が変わる実感がある。
その一歩を踏み出す勇気。
後一歩を踏み込む勇気。
その自分が映像に残る。結果として残り実績として讃えられる。自分以外の何も使わない。試されるのは自らの気概だけだ。
別に1番になりたいわけじゃない。
「できるか?」と言われれば「出来ない」とは言わない。自己顕示欲とはまた違う。どちからといえば存在証明に近い。そこで諦めれば、そのカットを成立させることは実質的に不可能となり、自分がそこに居る意味もなくなる。目の前に誰も開けた事がない扉があって、その扉を最初に開けた人になれるのだ。
…そんな快感、手離す方が惜しいだろう!
「スタート」の声がかかる前の静寂が好きだ。
その刹那に滲み出るような熱を感じる。
ほんの数秒の間だけれど、自分自身をこれでもかって感じられる時間だ。
ヤバいスタントになればなるほど、その瞬間は長くなり集中力はあり得ない程高まっていく。
数秒先の絵が見える事だってあるし、スローモーションに見える時だってある。
あり得ないくらい気持ちは昂っているのに、思考は無風の水面のように静かだ。
カットがかかった時に、現実に戻る。
生きてるって実感を体中が発信する。
時間の流れは戻り、それまでの風景がそれまでの風景に戻っていく。
なんて言っていいのか分からないけれど、俺達にしか分からない極上の達成感がある。
ぶっちゃけると俺は同業者だ。
劇中のメリッサとも仕事をした事がある。
だから、この作品を見て思う。
やっぱ楽しそうだなぁって。
なんで楽しいと思うのか、色々思い当たる事はあるのだけれど、説明しても理解は出来ないだろうと思う。その現場に立ってやり遂げない限り。
劇中の誰かが言ってたけれど、違うチームに居ても私達はファミリーなんだと。
ホントにソレ。
自分の命は誰かの手の中にあって、誰かの命が自分の手の中にある。そんな極限の信頼感の中で仕事をする。それが特別ではなくて普通の事なのだ。
この作品はSTUNTって仕事を過大も過小もしてないと思う。そのまんまだった。
日本はアクション後進国だけど、それは環境の問題に起因するところが大きい。
だから不遇の時代を経てきたスタントウーマン達の境遇に重ねてしまう。彼女達が自らの地位を確立できたように、日本もそうなればいいなと思うのだけれど、圧倒的な環境の差は否めない。
マーケットが違うし、スタントが生まれた経緯も違う。ギャラも待遇も格段に違う。
だけどスタントに求められる事は世界共通だ。
嘘も偽りもない。
体を張って命を懸けた仕事ではある。
根本的に危険な職種ではあるけれど、危険かと聞かれれば「そうでもない」って答えられる職種ではある。
勿論、個人のスキルに依るところは大きいけれど、普通の人が感じる安全とは、安全の水準が違うのは確かなのだろうと思う。
「車に撥ねられる」
安全な撥ねられ方って想像もつかないよね。
俺も想像つかなかったけど、あるんだなコレが。
とあるアクション監督が言ってた。
「君達は普通の人がやったら死んじゃうような事をやって、無傷で生還してくるからスタントマンって呼ばれるんだ。」ある意味真理だと思う。
体の強さよりもメンタルコントロール
スタントウーマンというタイトルなだけあってもちろん女性の働く姿や、社会的弱者の立場の歴史、そして今の現状を中心として描かれている。
近年は過剰な表現が多い女性作品や逆に男性を卑下するような作品も時折目にするが、この作品はそういった見にくさはなく、見やすい作品である。
特に男性を過度に卑下する事なく、力やパフォーマンスで乗り越えたい、乗り越えられる時代はもうそこまで来ているといったスタントウーマン達の言葉は非常に心を震わさせられた。
この作品は女性ながらの視点の為それが新鮮味あって面白い裏話も多い。
男性俳優とは異なり女性俳優のスタントをする際とにかく衣装が薄く肌の露出が多い為、パットを始めとした衝撃器具を装具できにくい事がスタントウーマンの悩みだと。また女性俳優は華奢なスタイルの人が多い為なかに着込む事もできない。確かに言われてみればその通りだ。彼女らのスタントをすることは男性と比較すると大変な事がわかる。その為より体を強くする必要はあるだろう。
ただこの作品を見ていて思うのは体の強さが最重要なわけではない。やはり1番はメンタルコントロールだという事だ。
このメンタルコントロールは色んなコントロールの難しさが描かれている。
もちろん最初は恐怖をなくし勇気を持つ事である。恐怖があれば表現に弱さが出て作品に影響はでる。まずぞ恐怖をなくすコントロールが大切となる。
その次に恐怖を抱くコントロールだ。もちろん恐怖をなくすことは必要である。それはいざアクションシーンを演じるときに恐怖を恐れず勇気を抱いて演じる事が大切になるのだが、その前にリハーサルを行う際そしていざ演じる前にイメージする際には恐怖を抱く事は必要となる。その恐怖がないと危機管理能力、危機察知能力を低下させて悲惨な事故に繋がる可能性を高めてしまうという。
そして最後は想像力、集中力だ。イメージできない事は成功する可能性が低く、そして集中がかけている時ほど事故やトラブルに遭遇する可能性が高いと語られていた。
プライベート始め仕事以外の部分でも色んなトラブルに遭う事があれば、それ故にメンタルが不安定な事もあるだろう。それを仕事の時にはしっかり切り替えないと命の危険に繋がりかねない。この集中力こそが一番重要となるとも語られていた。
これらのメンタルコントロールは決してこの仕事だけではなく自分に置き換えて当て嵌めることができ、そして勇気づけられる言葉である。
少し理屈っぽいシーンだったりメンタルを語るシーンは多いがこういうのが大好きな自分にとっては非常に貴重な時間となった。
ドキュメンタル映画で、少数の人物にスポットを当ててるわけではないため、ドラマ性には欠ける作品ではあるが、世界の前線で働く人たちの言葉はやはり魅力てきである。
ただ面白いのはこんな偉大な人物達でも語る言葉の数々は身近に耳にする言葉が多い。
成功者ほど当たり前の事を当たり前にできる事が改めて実感させられる。
とても楽しい作品であった。
女性スタントの知られざる物語
女性スタントの知られざる歴史を追っていく物語
黎明期から現代に至るまで色々な問題と対峙してきた女性スタントの歴史
観ててそういえばあの映画もこの映画もスタントばかり
女性のシーンも思った以上にあってそれが印象的なシーンもある事に気付いた
トゥルーライズの女性がヘリに助けられるシーンなんて凄く印象的
当時どうやって撮ったんだろう?って疑問だったけど
本当に危険なことやってたんだね
他にも色んなシーンでの成功・失敗談を聞けて面白く、
また亡くなってしまったり体が不自由になってしまったりとリスクの話も考えさせられる
背骨折ったり足を折ったりしながらもそれでもまだ続けてる事が凄いの一言
男性、女性とか置いといて普通に尊敬できるそんな人達
普段聞けない映画での苦労話、面白い話などは聴いてて飽きなかったな
ずっと続いて欲しいそんな気分で観れた映画についてのドキュメンタリー映画でした
惚れ惚れするカッコよさ!
大好きなミシェル・ロドリゲス製作総指揮の女性スタントマンドキュメンタリー。作品から信頼関係とリスペクトが感じられました。
華々しい面から今でも存在する女性スタントへの差別や偏見、撮影中の事故や仲間の死、年齢と引き際。
色々な角度から多くの女性スタトマンの本音が聴けて沢山の発見がありました。
今でも鮮明に記憶に焼き付いているマトリックス・リローデッドでトリニティのバイクチェイスを演じたデビー・エヴァンスは人柄も含めて特に最高でした。
インタビューが多く、実際のスタントシーンが若干少なく感じたのが残念でしたが素晴らしい作品です。
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