スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたちのレビュー・感想・評価
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カッコいい女性だらけのドキュメンタリー
スタントウーマンは当初は存在しなかったらしい。女役のスタンともカツラをつけて男がやっていたのだとか。スタントは、映画のの見せ場である派手なアクションを作る上で欠かせないが、スポットライトが当たることは少ない。近年は女性主体のアクション映画も増加しており、スタントウーマンたちの活躍の場も増えている。
しかし、やはりスタントの世界は男性中心に回ってきた歴史がある。本作はその歴史を紐解き、壁を叩き壊して地位を築いたレジェンドスタントウーマンたちと現役バリバリのスタントウーマンたちを数多く紹介する。テレビシリーズの『ワンダーウーマン』のスタントを担当したジーニー・エッパーは現在70代だが、スタントこそ我が人生といい、いまでもスタントが恋しいという。
ジェンダーの壁を打ち破る彼女たちの逞しさをたくさん見せてくれると同時に、スタントがいかに危険な仕事であるかも示す。仲間の死はなによりつらいを涙を流す彼女たちは、だからこそ結束力も非常に高い。スタントは自分だけじゃなく、相手の命も預かる仕事なのだ。そんな危険な仕事に挑む彼女たちの誇りが大変眩しい。
確かに案内人はミシェル・ロドリゲスしかいない!
ハリウッドを支えるスタントウーマンにフォーカスしたドキュメンタリーで、生き様や矜持が、彼女たちの声で語られていく。インタビュー取材が主体になっていて、もっとスタントの現場や、映画史的な解説に時間を割いてほしいとは思ったのだが、オーラルヒストリーとしてひとつの作品にまとめられたことに、大きな意義があるのだろうとも思う。
案内人として出演しているのが『ガールファイト』『ワイスピ』シリーズのミシェル・ロドリゲスであり、確かに今のハリウッドで多くの人の窓口となり、スタントウーマンに寄り添って話を聴けるのは彼女かシャーリーズ・セロンくらいしか思い浮かばず、納得の人選。
アカデミー賞にスタントマンの賞を設けようという動きは以前からあるが、この映画をきっかけに大きく進展してほしいと思わずにいられない。
より過酷な1年に乗り出そうとする若い社会人たちに元気を届ける
むしろ遅過ぎた感が否めない。「チャーリーズ・エンジェル」「ワンダーウーマン」「ハーレイ・クイン」等々、女性が主人公のアクション映画が数多く製作されているこの時代に、主演女優に代わって危険なスタントを演じるスタントウーマンにスポットを当てたドキュメンタリー映画が、このタイミングで作られたことが。本作には、上記の3作以外にも、「キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー」でスカーレット・ヨハンソンの代役を務めたエイミー・ジョンソンをはじめ、歴代のスタントウーマンが次々登場してインダヒューに応えている。それは映画ファンにとって、トリックの裏側を覗き見るようなスリリングな時間であると同時に、彼女たちがいかにしてこの分野を牛耳ってきた男性スタントマンと同等の権利を獲得するために闘い、性差別や嫌がらせに耐えつつ、命を脅かすような危険に身を晒してきたかを学べる、学習の時間でもある。これほど身近な存在でありながら、#MeTooムーブメントさえ見落としてきた映画界の空白地帯に着目した、製作総指揮を努めるミシェル・ロドリゲスの熱意を、まずは称えたい。おかげで、今後アクションシーンの見方が少し変わるかもしれない業界内ドキュメントは、同時に、差別や苦難を乗り越えて命懸けのスタントに挑戦し続ける裏方たちの姿から、単純に元気がもらえる、これぞ新年に見るべき1作。より過酷な1年に乗り出そうとする若い社会人に、是非見て頂きたい。
ポリコレ臭がちょっとキツイ
映画を支えるプロフェッショナル達
ホントに感服いたします。
スタイルウーマンは、メジャーやないんやな。
ハリウッドの映画史的な価値のあるドキュメンタリー
ハリウッドで活躍するスタントウーマンたちの証言を基に、映画製作の裏側だけでなく今もハリウッドに蔓延る男女・人種差別をも立体的に描いていく。
ジュール・アン・ジョンソン、ジーニー・エッパー、ジェイディ・デイビッドなどのレジェンドから、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』でスカヨハのスタントダブルを務めたエイミー・ジョンソンら現役組まで、数多くのスタントウーマンたちが登場。製作にも関わったミシェル・ロドリゲスがナビゲーターも務めている。
僕らの世代は、アメリカはレディーファーストの国で人権意識もアジア諸国に比べてずっと進んでいるという教育を受けてきたけれど、近年のミートゥー運動やブラックマターなどのニュースを見るたび、アメリカの差別大国ぶりに驚かされる。
それらの差別がリベラル派が多い印象の現在のハリウッドですら、未だに根強く横たわっていることに問題の根深さを感じる。
そういう意味で、ハリウッドの映画史的価値の高い作品だと思う。
もうちょい「画」が欲しかった
スタントという人力で起こす映画の魔法
女は自分の実力を証明しないとダメ、何度も繰り返して。証明していくことはまだまだある。"君じゃ無理だ"と言われる前にやってみせるの!スタントの素晴らしさを、最前線で尽力しながら尚も魅せられ続けている人々の、あまりにも偉大な功績と共に伝えてくれる。ものすごくパワフル!!
女優を助けてあげたい、だって彼女の映画だから。彼女たちの功績にスポットを当てる。数々のスタントくそかっけー、格好良すぎて痺れた。取り組み方や考え方・発言、節々からプロ魂やばい。見ていて大興奮!その辺の映画本編よりずっと高まった!夢中になって引き込まれる。
その昔、映画がカネになると知った男たちが彼女たちを追い出した。男の職場と決めつけた。最近になっても男性が女性のスタントをすることもあらしい、黒人も。その悔しさを励みに、女性でなく、プロのスタントマンとして周囲に認めさせる血のにじむような努力や環境・状況に負けない粘り強さ。
まさしく縁の下の力持ち。高いプロ意識に脱帽。スタントウーマン協会も設立したレジェンド達の貴重な証言の数々と、それを裏付ける映像に興奮と背筋の凍る思い。けど、まだまだ彼女たちも化石などではない。もちろん、成し遂げてきたものは、広く正当に讃えられるべきだ。
役者に見えてバレないのが必要だけど、もっと讃えられるべきだという気持ちが芽生えるのは極々自然なこと。彼女たちがいないとありとあらゆる作品は実現していないはず。往々にして、ハイヒールなど、男性よりも動きにくい衣装であったり、女優と体型を似せるために痩せることを求めれたり、厳しい状況下に置かれることもしばしば。
ミシェル・ロドリゲス姐さん大納得。
いつもプランA, B, Cがある。監督が求めているもの、スタントマンがしたいと思っているもの、そして最悪の事態になるもの。イメージできないスタントは危険だから中止。自分は他人の命を預かり、自分の命もまた誰かに預けている。危険は隣り合わせで、怪我はつきものだろうけど、命あってこそだし、恐怖は感じるべき。経験則て危険を教えてくれる。線引きの難しさ、ノーということの大切さ。仲間を失うつらさは忘れられない。当たり前だけどスタントそのものより命のほうが大切だ。クスリは厳禁、ハイになってると失敗する。コカインの件を指摘すると嫌われ、干されるのは間違っている。
そして、本作品は終盤、女性アクション監督の少なさという点も扱う。他人を怒らせることは怖がってはダメ、やるべきことは必ず優先させる。大胆でいて時に繊細さも持ち合わせている。
勉強になりました!
なにはともあれ、ジェンダーや差別を実感しやすい
危険な仕事だから男の仕事。
ハードだから女には無理。
そんな決めつけが古いことは百も承知で、映画好きなら己が目ですでに数々、目撃しているハズ。
演じてきたスタントウーマンにむしろリアルなヒーローを感じてしまった。
やりたいことをやればいいし、求めるならそんな人に任せればいい。
結局はそれだけのことだ。
このシンプルさにのしかかる重しがとれたような、広がる希望と可能性を感じて止まない
男も女も関係なく、人として、プロとして対応する姿勢がとにかく見ていて気持ちがよかった。
ジェンダーや差別全般の問題は近頃とくに注目されているが、
作品は最も実感しやすく(映画で観ているのだから)、親しみやすく(映画好きなら)、明るく前向きに知り、考えることのできる最良のキッカケだとも感じる。
きっと著作権の関係で、実際のスタント映像が少なめなのだろう。
マトリックスのバイクシーンはてっきり、CGだと思っていたのでびっくり。そう思うと大作はやはり、有能稀有な人材で成り立っているのだなぁと実感する。
スカートとかヒールとか男性より大変なのね
体を張る女性の仕事の話
内容がとても興味深かったので楽しく鑑賞できました。
女性スタントの歴史やらどの作品のどのシーンが大変だったとか伝説だとか。
苦労話や歴史を知れてよかったし何より彼女らスタントウーマンがかっこよかった。
男性に見くびられながらもひたむきにコツコツとやれることをやって、実力で差別や偏見を覆してきた姿勢は気高く美しいです。
少し不満があるとすれば作品全体が何か映画のメイキング映像集の様な雰囲気だった事ですね。
若手から古参まで多くの人物がいっぱい出てくるし話もまちまちなので上手く編集はしているものの、全体の筋道というかまとまりがちょっと希薄だったように思います。
ミッシェルロドリゲスが出向いて話を聞くシーンもあれば誰かがインタビューしてるシーンもあるし、主人公というか語り部をしっかり決めればまた違う印象の作品になったのではないだろうか。
スタント技術や殺陣の実演なんかもう少し多いとさらに彼女らの努力や実力が分かったかもしれない。
今作品を見たことで、アクション映画の楽しさや見方をさらに深いところで捉えられるようになったと思う。
アクション映画好きは是非鑑賞すべき作品です。
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劇中セリフより
「安全?なにそれ?」
安全が担保されない時代は終わり、子どもや孫の顔を見るための努力を惜しまない。
度胸も大事だけど成功へのイメージや危機管理能力がケガや事故を防ぐのですね。
逞しいね
これぞスタントウーマンのアンソロジー‼︎
彼女たちは今も昔も美しくかっこいい、真のワンダー・ウーマンだ
「ようこそ映画音響の世界へ」と合わせてお勧めしたい、全ての職業人に見て欲しい、ハリウッド映画の裏方にスポットを当てた作品。しかもスタントウーマンという真に影の存在として働いている人々、その中でも女性ということで不当な扱いを受けてきた人々が主役だ。
Me too運動で浮き彫りになったように、今でも映画産業に(無論そこに限った事ではないが)蔓延する肌の色に関わらない女性差別。そこで女性ならではの繊細な察知力と、男性に劣ることのない実力をもって戦い、道を切り開いてきた彼女たちが口々に語るストーリーは、奮えるほどかっこいい。スタントウーマンのポジションの更に先を行く、アクション監督に就き更なる道を開拓する姿まで描かれており、今を戦う若い現役スタントウーマン達にその意思が引き継がれていっているところにもまた勇気が沸く。
危険なスタントのために体を鍛えなければならないと同時に、女優の吹き替えとしてある程度身体の線を細く維持しなくてはならなず、衣装もスカートやタイトなものが多くて身体を保護するための緩衝パッドが付けられない、といったような裏話のひとつひとつに、そうか・・・と頷いてしまった。
それでも命の危険があるスタントを「天職だ」「スタントをしている時の自分が一番好きだ」「宙を舞う時の高揚感は忘れられない」など、口々に言う。
彼女達は皆、とても美しく、かっこいい。
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ワンダーウーマン1984を鑑賞したのちに本作を観たため、元祖ワンダーウーマンのリンダ・カーターのスタントウーマンとして活躍していたジーニー・エッパーさんの当時の姿や話を聞くのは大変興味深くタイムリーだった。
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