「真に命を失うならば」劇場版 ソードアート・オンライン プログレッシブ 星なき夜のアリア Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5真に命を失うならば

2021年11月6日
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鑑賞方法:映画館

興奮

SAOに関しては前作の劇場版・オーディナルスケールは観ていますが、他は一切知りません。

本当に死ぬゲーム?
「ゲームと見せてゲームじゃなかった」は、サスペンスやスリラー、SFの常套手段。最初から生死が懸かっている物語とは違って、そのギャップに心が震える。
ただこの作品では、ゲームのワクワク感が一瞬にして地上80mの鉄骨渡りの絶望感に取って変わる恐怖が、強くは感じられなかったです。
登場人物たちの表情や、ストーリー展開からも「死」はゲームの一つの建前みたいにしか思えなかった。

少し冗長、平凡になっても、ゲームと日常の行き来が繰り返されるうちに戻れなくなるとかの設定が有れば、よかったかなと思いました。
あっという間に、ゲームの中に取り込まれてしまうのですね。もちろん、それがこのシリーズの物語としての特質であるのでしょうが。

ゲーマー魂の物語
ヒロインたちがフルダイブしたゲームには第1から第100までの層があって、それぞれのボスキャラを倒したらば、現実世界に戻れると言う。気は遠くなるけれど、たっぷりと愉しめそうなチャレンジ。
しかし、ハードルが高ければ高いほど燃えるのがゲーマー魂で、クリアには全てを賭けてしまう。故にミトはアスナを見捨てた。
このミトの、仲間の命よりクリアの方を狙ってしまうと言うゲーマーの思いは破滅的であっても、非常に魅惑的でもあります。それも含めて少女や少年たちの成長が描かれていくなら、更に素敵だと思います。

原作も知らずに思うのですが、次回、ミトが物語を再び破滅に向かわせてくれることさえ、思わず期待してしまいます。

負けたくない「世界」とは?
闘いに負けたら即消滅。ヒロインが「私はこの世界に負けたくない」と繰り返します。
「この世界」とは何か? それは神を気取って現実をちらつかせながら、ゲーマーを弄ぶような世界のことを指しているのかなと。つまりそんなゲームを構築した人の悪意に対しては、膝をつきたくないと言うことでしょう。
強靭と言うより、健気と言うべきゲーマーの意志。

今作は第1層のボスキャラを倒したところで、エンドに至った。今作が全ての原点らしいですが、先は長いなぁ。

Uさん