「終盤になるにつれて1つになる形は引きつけられる」藁にもすがる獣たち KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
終盤になるにつれて1つになる形は引きつけられる
KCIAを観た際チネチッタでこの作品の予告を見て興味をそそられこの度鑑賞。
予告を見る限り一つの大金をめぐり人々が争う様子を想像させられる。
序盤は各々の登場人物の背景から始まる。その登場人物達が共通するのは借金苦で首が回らない状況である。そのお金に困った登場人物達がどうやって纏まったお金を工面し現状を打破するか描かれ物語は進む。
大金を工面するが故にやはり周囲はまともな人間を築けておらず、また悪い事をしてでもいかに大金を手に入れるかというダークな描写が続く。
序盤から中盤にかけては予告で想像させられた登場人物達各々が一つの大金を争い奪う展開やその様子がなく、
またそれぞれの人物達の仕事やら見た目やら共通性が薄い人生をそれぞれ送ってるため一瞬、あれ?という気持ちにさせられるが、
作品が進むにつれてその共通性の薄い人物達が借金苦という唯一の共通性から一つにまとまっていく展開は非常にエキサイトな気持ちにさせられる。
時には嘘をつき人を殺してでも金を得て、そして騙され、殺され金を奪われて…と主要キャラ達が獲得を狙った大金に関わった者全て一瞬の幸を得た後に大きな不幸を遂げる展開が繰り返される。
その展開は時にはバイオレンスに、時にはサイコチックに時にコメディカルにいろんな描かれた展開で進むため終始非常に楽しめる。
結局作中で金を奪い合ってきた人物達は誰一人幸を得る事ができず、最後はまた新しくその大金をめぐって不幸が広がる展開が始まりそうな臭いを漂わせて終わるのがまた面白い。
大金の始まりがあのDV被害を受けていた奥さんが得た保険金からはじまると予想していなかったのでそこも面白かった。
最後の最後に認知症のおばあちゃんが言い放った「生きてりゃなんとでもなる」がこの作品の全てだね。
悪い事、非道な事をしてでも得た物に対し幸は結局長くは続かない。苦しくても他に足つけて少しずつ前に進むのが良いのだろう。
韓国作品らしいとても楽しいサイココメディ作品であった。