「「ヘンゼルとグレーテル」と「遠野物語」とのサンドウィッチ」岬のマヨイガ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
「ヘンゼルとグレーテル」と「遠野物語」とのサンドウィッチ
東京五輪のオモテナシもすっかり忘れ去られた夏の終り、コロナ禍の日本。それよりも10年前の震災跡を思い出し、震災を風化せずに古来からある日本人の心が沁みる。
悲しみ、怒り、憎しみなどネガティブな心を付け狙うと「アガメ」という邪。かつては勇気ある村人たちによって封印されたものの、津波によって解き放たれてしまったようだ。それは大災害からも立ち直ろうとしている人々を土地から追い出そうとする悪の大蛇なのです。
酷い仕打ちをする父親から逃げてきたユイと、事故で両親を失った上に震災で親戚をも失った小2のヒヨリ。キワ婆さんに誘われ岬のマヨイガで暮らすことになった。そしてキワが岸壁の祠の異変に気づくというストーリー。
神社の狛犬にも優しく接したり、妖怪たちとも仲良くなる2人。土地に根付いている妖怪も古来から人間と共存し助け合ってきている。血の繋がらない家族でも絆は生まれるし、共存共栄を守るDNAは受け継がれるものなんだなぁ〜と感慨深い。
アガメとの対決があっさりしてたことや、音楽が明るすぎたというマイナス点もあったけど、アガメという存在がコロナだったり悪徳業者、または無能な政府などと様々なメタファーが感じられ、地に足をつけしっかり生きていこうというメッセージにより温かみ溢れる作品に仕上がってました!
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