「あれから10年経ち自身の環境も大きく変わった」岬のマヨイガ Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)
あれから10年経ち自身の環境も大きく変わった
2011年3月14日、自分は新宿区内某所の雑居ビル最上階(13階建)に向かうエレベーター内にいました。今でもあの日のドタバタは鮮明に覚えています。もっとも自分なんて東北各地で被災された方々のご苦労に比べれば些細なモンでしたが、でも今思うと、当時リーマンショック以降人生の展開が色々狂い出した矢先のトドメ的な災害でした。。。ンなこたともかく‥‥
内容は被災地域の人々とその地に対する想いを、日本古来の身近なファンタジーを用いた観やすく解りやすい内容で綴った児童文学原作、文化庁オススメの一作です。イメージ的には『夏目友人帳』に何となく風味が似てるかな?と思いました(コミカルな表現はあまりありませんが)。
そこに東北地方アレコレの素材と“聖地”をさり気なく絡め、地域の魅力や自然の美しさをスクリーンいっぱいの精密な描画で表現、3人の住む民家の生け垣のCGが水羊羹チックだった部分を除いてビジュアル的にも良好の出来かと思います。
そしてファンタジーにありがちの“ナゼ?”を有耶無耶にしつつ、とにかく内容に引き込んでしまうやり方も巧く行ってたと思います。キワ婆ちゃんの謎やユイ&ひよりの身の上があまり詳しく表現されず要点だけなのが気になるものの、作品が展開するにつれどうでも良くなる程に内容に惹かれていきます(吉田玲子の脚本力)。
そんな訳で作品の仕上がりとしては良作と言えるかと思います。
で、毎度申し訳ありませんが本作キャラの中の人の件、ナントカ無難に纏まっていたと思われます。ただ重箱の隅を突くと、駄目に思ったフシはやはりあります。
大竹しのぶはもう何作品もの中の人を演じられてて、アニメの声当てには相当慣れてらっしゃるのでしょうが、個人的にはあまーり評価しません。特に状況の説明台詞などの場面ではどうしても台本の棒読み加減が見え隠れし、個人的にはコチラの方がよっぽど演技が丸見えで『嘘っぽく聞こえ』ます(宮崎駿の逆)。そのため内容に引き込まれてる所を度々ハッと我に返って来てしまいます。勿論アイドルタレントのソレに比べればだいぶマシではありますが‥‥
粟野咲莉は子供の甲高い声質が幸いし気にはならず、芦田愛菜も頑張ってた?な感。ゲストタレントの件は言わば御新香みたいなものなので良しとします。
でもまぁ声優云々の件は至極個人的な印象ですので、ソレは深く考えない事にして、作品全体は申し上げた通りの良作なのは間違いありません。緊急事態宣言等々が明けて、世間が落ち着いたらご家族で鑑賞されてはいかがかと。
(文中敬称略)