「評価不能」岬のマヨイガ Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
評価不能
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ファンタジーとしては、デキの良い作品ではない。
はっきり言って、ダルい。演出にキレも工夫も悪く、ワクワクが来ない。
妖怪は、隠れているから、あるいは、もしかしたら襲われるからコワいのだ。“仲間”になったところで、何が面白いのか?
また、地蔵菩薩や狛犬が、一般人の口調で饒舌にしゃべっては、カリスマがない。
アニメーションとしても定番で、特筆すべきものはないと思う。
3つほど「昔話」が挿入されるが、そちらのアニメーション方が、“攻めた”表現で良いアクセントになっていた。
ただ本作は、テーマが「震災」である。
いろいろと被災者の心情に立ち入った描写が出てくるので、“部外者”の自分は、その善し悪しを判断できない。
しかし原作者も、被災していないようだ。
もしかしたら被災者は、的外れな話だとか、“部外者”が勝手にそういう話に触れるな、などと不快に思うかもしれない。
逆に、郷土への誇りを表現しているとか、自分たちの状況を象徴している、と共感する被災者がいるかもしれない。
何より注意すべきことは、怪物アガメ(赤目)の目的は、人を殺すことではなく、「被災地から人間を追い払う」という点だ。
被災した故郷に見切りをつけて、去って行く人達。アガメは、その心の闇の“象徴”として登場する。
そして、アガメに勝ったユイは、この地で生きていくことを誓うのだ。
こういう描き方が、被災地を去った被災者にとって、どう感じられるのだろうか?
少なくとも、センシティブな問題に触れていることは、認識した方がいいのではないだろうか。
だから、ファンタジーとしては低評価だが、映画全体としては、“部外者”の自分には評価できない。
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