「間違いなく面白かったが、粗も目立つ。」フラ・フラダンス といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
間違いなく面白かったが、粗も目立つ。
評価が高かったので鑑賞。
予告映像を観た程度の事前知識です。
結論から言えば、「面白かったけど不満点も結構ある」って感じです。観て良かったとは思うので、観るかどうか迷ってる方は観るべきだと思います。
フラダンサーとして活躍していた亡き姉への憧れから、初心者ながらダンサーとして働き始めた主人公と、その仲間たちとの友情モノ・大会やステージを目指して練習に励むスポ根モノとしてはかなりクオリティ高くて面白かったです。
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フラダンサーの姉を東日本大震災で亡くした夏凪日羽(福原遥)は、姉への憧れから高校卒業後の進路として地元福島県にあるハワイを模したリゾート施設「スパリゾートハワイアンズ」でダンサーとして働くことを決意する。無事に試験に合格して就職した日羽だったが、完全にダンス初心者だった彼女は日々の練習で悪戦苦闘。そして、初ステージに挑むことになるのだが……。
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全体的に見れば普通に楽しめました。レビュー調べてみると結構酷評もありますしお客さんも少ないし「予算少なかったんだろうな」ってのがスクリーン越しに伝わってくるくらい作画の粗さとCGの多用が目立ちますが、私は本作が酷評されていたら擁護してあげたくなるくらいには楽しめました。不満点もあるけど、同じくらい良かった点もある作品だと思います。
まず不満点から列挙します。
前半は結構観ててキツかったですね。主人公のキャラクターがドジっ子属性で頻繁に転んだり変なこと呟いたりステージでとんでもない失敗したり、共感性羞恥が発動して観てるのが辛い。
「もうちょっと自然な言い回し無かったのか」ってくらい序盤の脚本にも違和感あるんですよね。主人公の日羽と両親の会話がやたらとよそよそしくて、凄い違和感ありました。同じ家の中なのに「じゃあね」とか言って手を振って別れる描写とか、違和感しかありません。
更に作画。後半は気にならなかったんですけど、前半の日常シーンの作画がところどころ酷い。軽トラが走るシーンとか、背景と全然合ってなくて笑っちゃいました。主人公が運転する車はCG使って描いているんだから、序盤の軽トラもCG使えば良かったのに。
全体的にテーマが多くてごちゃごちゃしている印象もあります。
仲間との絆・年上の先輩との恋愛・被災地の復興・姉との関係性などなど、描きたいテーマが多すぎて結局どれも中途半端になってしまっている印象ですね。100分という短い尺でそれらを全て詰め込むのは無理があります。ぶっちゃけディーンフジオカ演じる鈴懸さんと日羽の恋愛シーンは全部カットしてしまっても問題なかったように感じます。何なら、鈴懸さんは最初から登場させる必要性がありません。日羽に震災の時の話を語るのも姉の墓参りに行ったら遭遇するのも、鈴懸さんじゃなくて先輩ダンサーのプアラあやめでもストーリー上は全く問題ないです。
正直、上記のような悪いところは目立ちます。しかし良いところも結構あるんです。
まずは仲間たちとの絆を深める描写。最初はバラバラだった新人たちが苦難を乗り越えて団結していく様子や、大変な練習を積み重ねる様子は、まるでスポ根モノのような面白さがあります。
そしてそのキャラクターたちが非常に魅力的である点。個性豊かなキャラクターで、それぞれに魅力があって可愛らしい。主人公たちに厳しい指導を行う先輩も美人でカッコいい女性という感じで良かったですね。
そして声優の素晴らしさ。本作はメインキャラのほとんどはプロの声優さんではありません。そのため鑑賞前は俳優が演じる声の演技に不安がありましたが、ほとんどのキャラクターの声は全く違和感なく鑑賞することができました。ただ、ディーンフジオカだけは最後まで違和感ありましたね。端的に言えば演技が下手。そういう意味でも鈴懸さんは不要なキャラだった気がするなぁ……。
上記のような不満点はありつつも、全体で見れば十分に楽しめる作品になっているように感じました。未鑑賞の方はぜひオススメです。