「人の死を然るべき時にしっかり考えなかった男の生きざまは初秋の枯葉のように哀れだ。」ドライブ・マイ・カー はるさんの映画レビュー(感想・評価)
人の死を然るべき時にしっかり考えなかった男の生きざまは初秋の枯葉のように哀れだ。
なんともはや退屈な映画だった。誰しも小学生の低学年の頃、死ぬことを考え怯えて眠れぬ日々を過ごすものなのだ。そして、15歳を過ぎれば大概は世の中、厭なことに充ち溢れていると実感する。
そんな思考経験のない人間が中年になって愛するものを失う・・・・凡そ喪失感など感じられないと思う。そんな物語を映画にしてしまえると言うのは、余りにも鈍感と言うしかない。
村上春樹の小説はあまり好きではない。だから、原作も読んではいない。ただ、映画を観ながら3時間もの間、腹を空かせた野良猫のようにイライラが続いてしまった。イラつく原因は自分自身の欠点に結びついている訳だから主人公に自分自身を重ねてしまっているからなのだろう。それでも、間が伸びてしまっている。会話や風景や音楽が、パーフェクト音痴のようでグルーヴしない。
愛にはいろんな形があるわけで、性愛もあれば師弟愛も夫婦愛もある。しかし、すべては「死」から始まっている。それはみんな幸せを望むからだ。こんなことは誰でも知っている。分かり切っていることを映画にするのはとても難しい。
多分、人として生きていくということをみんな知らないだろう?
そんな傲慢さが満ち溢れた映画だった。
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