劇場公開日 2021年8月20日

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「自己満足の否定について」ドライブ・マイ・カー かぴばららさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5自己満足の否定について

2021年10月17日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

私の中でまた新たな映画の出会いがあり、とても幸せです。
はじめから終わりまで飽きずにのめり込めました。
自分の中に言いたい事はあるのに、それがたやすくまとまらない。ただ、じんじんと、しんしんと、私の中で想いが降り積りそれが言葉になるのを待っている。
深く潜ってそれを手に入れたい。
そう思わせてくれる作品。
50過ぎて質の高い作品に出会えて心からうれしい。
演者の中に深さがなければ浅くなってしまう難しい作品だったと思います。真剣勝負のギリギリにしびれました。後半の車中の中での高槻の告白は劇場内が車中であり、私の隣に高槻がいた。こちらの人生を覗かれてる緊迫感。こんな体験あるんですね。岡田さんの演技を超えた憑依のようなものにゾクっと震えました。

そして最後のソーニャの言葉の手話。言語と、国と、障害、人それぞれの地獄を乗り越えて出会う何か。緊迫、絶望、覚醒…チェーホフは自己満足の否定をするという事をずっと考えています。
村上春樹の小説、チェーホフの原作をぜひ読んでみたい。

最後に日本にこの作品を生み出した濱口監督に惜しみない拍手を贈ります。 素晴らしい。

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マルマル