劇場公開日 2021年8月20日

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「付け髭を外す芝居にしびれた」ドライブ・マイ・カー 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0付け髭を外す芝居にしびれた

2021年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

序盤にある、楽屋裏のシーンにすごく惹かれる。西島秀俊が付け髭をつけている。これがすごく印象的である。鏡がおいてある、それに向かいながら、付け髭をピりリと外す。この芝居に異様に惹かれてしまった。要するに、この映画は男が付け髭を外す映画なのかと思った。髭が男の威厳やらなにやらを象徴するのかどうかわからないが、ただ付け髭を外すという、楽屋裏での何気ないひとコマがとても強烈なイメージをはなっているように思えてしまった。実際、その印象は間違いではなかった。男が威厳とか強さをを捨てて弱い自分を見つめなおす物語であったように思う。
広島での芸術祭における、主人公の芝居作りの過程は興味深いものだった。これは濱口監督のメソッドだと思うが、途中で役者の1人が「私たちはロボットじゃない」と言い出す。ただ、感情を込めずに台詞を喋らせる本読みを濱口監督も行っているのだが、実際に言われたことがあるのだろうか。
三浦透子が素晴らしい。どこか落ち着いて考えられる場所はあるかと聞かれた時に、車を叩く仕草のこなれた感じ。あの仕草に、この人は本当に車の運転が上手いんだろうなと思わせる、すごい説得力があった。

杉本穂高
ミスターさんのコメント
2022年5月18日

「すごいよマサルさん」という文学作品がある
貴方にお勧めですメソ

ミスター
しげるさんのコメント
2022年2月27日

つけ髭のメタファー、いい視点ですね

しげる