「世界を一つにする音楽。そして、映画」ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え! 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
世界を一つにする音楽。そして、映画
まさかまさかまさか!
29年ぶりのシリーズ3作目!
何年か前にチラッと聞いてはいたが、本当に作られるとは…!
ファンはキアヌの『ジョン・ウィック4』や『マトリックス4』より驚き。
いや、一番驚いているのはキアヌとアレックスの当人たちかもしれない。
でも、ビル&テッドは至って変わらず。…と言うか、問題か。
“彼らの音楽が世界を救う”。
そう予言されながらも曲を作れずにいる“ワイルド・スタリオンズ”。
人気になったのも結局あの時だけ。すぐに人気は落ち、メンバーは辞めていき、死神も脱退。
愛する中世のプリンセス妻たちとも離婚危機。
彼らの唯一のファンは、彼らの娘たち、ティアとビリーだけ。
すっかり落ち目の中年に…。
そんな2人の前に、久し振りに未来人現る。あのルーファスの娘。
彼女に連れられ、未来へ。そこで“偉大なリーダー”から衝撃の事実を聞かされる。
後77分25秒で世界が消滅。それを回避するには、“世界を一つにする曲”を作り、午後7時17分までにMP46という場所で演奏しなければならない…!
現代で、時空が歪み、異常が発生し始めている…!
さあ、どうする…!?
29年も曲を作れないでいたのに、いきなり後77分でなんて無理。
…そうだ!
未来の俺たちなら世界を救う音楽を完成させているはず。
手っ取り早くゲット…つまりは自分たちからパクろうと、お馴染み電話ボックス型タイムマシンでタイムスリップ。
ところが行く先々で、未来の自分たちとトラブル。
さらにそこへ未来からやって来たのは、“命を狙う殺人ロボット”。2人を亡き者にしようとするある陰謀が…。
一方その頃、2人の娘は父親たちの曲作りを手助けしようと、何て親孝行。
その方法は、かつて父親たちがやったのとクリソツ。
時空旅行して、歴史上の偉大なミュージシャンを連れてきて、最強バンドを作る。
ジミヘン、ルイ・アームストロング、モーツァルト、本人役のラッパーのキッド・カディ…。
バンド版アベンジャーズ!?
果たして、“世界を一つにする音楽”を作る事は出来るのか…!?
29年経っても変わらぬこのバカバカしさやノリは、涙ちょちょ切れるほど。
あらすじから分かる通り、父親たち、娘たちの時空旅行が交錯して展開。でも、その内容はだいぶ違う。
父親たちの方は未来へ、ドタバタ劇。
娘たちの方は過去へ、しっかりスカウト旅。
実は途中で何となく分かってきた。未来から告げられた“午後7時17分、PM46、プレストン&ローガン”の意味。そして本作が次の世代へ継承する物語である事も…。
中年になってもおバカ丸出し。
おバカ発言連発の今の自分たちもさることながら、ぶっ飛び悪ノリは未来の自分たち。
特殊メイクで、長髪&髭、筋肉ムキムキ、果てはヨボヨボ爺さん。
正直アレックス・ウィンターはほとんど見掛けてなかったが、前作後山あり谷ありあったもののスターとなったキアヌのコメディ快演を見れるのは嬉しい。
プリンセス妻たちやテッド・パパの続投、お約束のミッシーネタも。
新顔では、2人の娘たちを演じたフレッシュな若手が魅力。そして大活躍!
それから、殺人ロボットの“デニス・ケイレブ・マッコイ”。実は意外と…。
そして待ってました! 忘れちゃいけない、死神! 何だか2人と確執あったみたいだけど、“世界を一つにする音楽”を作る為に果たして…?
CG技術は遥かに進歩。時空旅行や未来世界や世界危機の描写は“A級大作並み”。良かったね、ビル&テッド。
ここから、ネタバレ。
“世界を一つにする音楽”を作ったのは実は、娘たち。
娘たちが中心となり、偉人ミュージシャンたちが演奏。それを父親たちが世界・過去・未来へ届ける。
皆が一丸となって作った“世界を一つにする音楽”。
クライマックス・シーンはその音楽の力、高揚感、ライブ感、壮大な映像…それらが相まって、荘厳で感動すらした。
最新作リリースに合わせて、シリーズ一気見。
今、必要なのは彼らかも。
彼らの音楽と笑い、ラブ&ピースが世界を救う!