「何気にWW84より壮大なオチなのに10人中7人が怒るレベルのデタラメにも程がある問題作」ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え! よねさんの映画レビュー(感想・評価)
何気にWW84より壮大なオチなのに10人中7人が怒るレベルのデタラメにも程がある問題作
世界をひとつにする曲を作るという使命に燃えるビルとテッドのバンド、ワイルド・スタリオンズはそのとっ散らかったサウンドが裏目に出てアルバムを出すたびに酷評されまくり。親戚からすらも見放された二人の理解者は妻と娘だけ。そんな彼らの前に突然タイムマシーンで現れたのはルーファスの娘ケリー、彼女に700年後の世界に連れて行かれた二人は77分25秒以内に世界を一つにする曲が書けなければ全時空が消滅してしまうと告げられる。25年かけても書けなかった曲がそんな短時間で書けるわけがないと瞬時に諦めた二人はだったら曲を書き終えた未来の自分たちから曲をパクってくればいいじゃん!というエクセレントな計画を思いつき未来へ旅立つ。
正直申し上げると前2作を観ていたとしても10人中7人が怒る映画。実際なぜかカップルが多かった周りの客は客電が点いた時に皆ビミョーな表情をしていました。とにかく何もかもが安易でテキトーで軽薄、延々と繰り返されるくだらないギャグに唖然とします。しかしほぼほぼ30年前の2作を思い出してみましょう。同じじゃないですか。30年経ってもホントに何にも変わってないってスゴイことです。そして今回登場する二人の娘、ビリーとティアがしっかりお父さんの遺伝子を受け継いで超ポジティブでユッルユルなのも嬉しい。これって娘を持つお父さんの理想です。自分たちが書き終わった曲を求めて未来へと旅する父と、父の理想のバンドメンバーを求めて過去へと旅する娘が辿り着くクライマックスに私は泣きました。そうです、私は怒らなかった3人の一人です。そしてそんな話に花を添えてくれたのが死神を演じたウィリアム・サドラー。前作で披露したキュートさが研ぎ澄まされていてもうずっとニヤニヤさせられっぱなし。彼が前作の前年公開の『ダイ・ハード2』で冷酷な敵ボス、ステュワート大佐を演じていたことを知らない人も多いんじゃないでしょうか。実は何気に『ワンダーウーマン 1984』とほぼ同じオチでありながら、あくまでハートウォーミングなテイストで仕上げたのは20年前に『ギャラクシー・クエスト』で同じことをやってのけたディーン・パリソットの力量によるもの。それ要らないだろ?っていうレベルのくだらないエンドクレジットのオマケも含めて私は大満足、ご馳走様でした。