「「凛とした」凛子さん。」総理の夫 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
「凛とした」凛子さん。
これはコメディである。史上初めての女性総理誕生、しかも若くて美人である。シリアスに展開すれば、様々な問題を真面目に取り上げなくてはならなくなるだろう。夫婦間や政界、世間で隠れていた女性差別の意識が表面化するかもしれない。ひょっとすると夫が妻に嫉妬して夫婦関係が険悪になるかもしれない。「女性だから」という理由だけで、謂われない非難を受けるかもしれない。しかしそんなありそうな問題点はすべて吹っ飛ばして笑いにしているのがこの作品のいい所である。妻が突然総理大臣になったことから起こるドタバタな騒乱を実に面白おかしく描いている。夫が鳥類学者という世俗を離れた設定なのも面白い。自分の世界(領域)を持っているのだから、妻は妻で好きにやってくれと関わらない選択もあったが、日和は全力で妻を応援することになる。ラストシーンでは、男女には最初から決まった役割があるわけではなく、唯一大切なのはお互いの信頼関係だと気づかせてくれる。夫が妻を支えるという物語はあまり知らないが、これからの時代、普通の事になっていくのかもしれない。女性リーダーも今後映画で見かけることが多くなるだろう。熟年なら黒木瞳や天海祐希など、若手では菜々緒や杏などがリーダー役に似合っていると思う。中谷美紀は、まさに「凛とした」美しい女性リーダーを示してくれた。
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