劇場公開日 2021年10月1日

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「オムニバスにまさか短編のオールタイム・ベストが生まれるとは!」DIVOC-12 たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5オムニバスにまさか短編のオールタイム・ベストが生まれるとは!

2021年10月26日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

コロナ禍で立ち止まったクリエイターたちに光を。そんな想いの詰まった12の短編。テーマも設定も自由に、時間だけ平等に表現する。やっぱり映画が好きだ。

『ユメミの半生』にボロ泣きしてしまった。短編のオールタイム・ベストになる程大好きな作品。映画に魅了され、映画の神様によって開かれた上田慎一郎監督だからこそ出来る技。松本穂香のべしゃりによって引き立てられる半生のエピソード。そこに映し出される時代と映画がたまらなく愛しい。10分をフルスピードで駆け抜け、映画にエールを贈るようなラスト…足繁く映画館に足を運ぶような人生で良かったと心から思えた。

その他作品で言うと、『あこがれマガジン』と『死霊軍団 怒りのDIY』と上田慎一郎チーム強しという結果に。独創性とその中にある画の凝りがとても良かった。その他実力派の監督はポリシーを強く感じたし、気鋭の監督たちはフレッシュさと挑戦の気概を感じた。後者は少し半端に映ることも多かったが、それもそれで楽しい。

豪華キャストだとは知っていたが、ここまでだとは。渋川清彦や渡辺いっけい、塚本晋也に窪塚洋介といったベテランもエールに賛同し、華を添えている。また、円井わんや中村守里、藤原季節といった面々も素晴らしい。駆け込みになってしまったが、映画館で観れて本当に良かった。

コロナ禍のおかげで映画鑑賞に火がついたので、無かったらここまで観ていないのかもしれない。しかし、この時期に辛い思いをしたクリエイターたちが沢山いる。だからこそ、この状況を救ってくれた映画を映画館で観て、思い切り感情を揺さぶることが、自分に出来る一番のエールなのだと思う。

たいよーさん。