「検尿に応じるか」ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
検尿に応じるか
この話では登場人物が数々の決断をするが、それは観てるこちらにも「お前ならどうするか?」と強いてくるようでもある。状況は切られるように痛々しく苦しい。身を投げるように行われる様々な判断。それぞれが家族のことを案じ、同時に自らをも思う。利己的ではない。自らの無事が、家族全体の幸福に資する自らが優先して守るべきことであるという現実的で誠実な解釈がなされる。ここまでの修羅場を越えて、何たる雄弁さか。
それを頷かせるだけの俳優陣の演技の凄まじさ。エイミーアダムスは、「これがあの!?」という風態で登場するが、ヒステリーに軽々と一線を超えさせるときのブレーキの壊れ方がたまらない。グレンクローズの病院から猫背で立ち去る様の異様さ、孫と正面きって電卓を取ってこいと挑む表情の鋭さなど、侍のようでもあった。
こんな不味そうな食い物を2人で分けるとは。500ドルでこまめにカードを使い分ける技などといった貧困演出も効いている。あの時ドアを突き破ってしっまったら!優秀な本人にも母親の影を潜ませる重要なシーン。トランプがあそこまでの票を取った。白人家族も現代的テーマなんだろう。
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