「ミスコンに魅力を感じない」MISS ミス・フランスになりたい! @花さんの映画レビュー(感想・評価)
ミスコンに魅力を感じない
LGBTQを題材とした作品
自分を自分と認識するため、ミスコンに出場するアレクッス。
実在のジェンダーレスモデルのアレクサンドルが初主演している。
もうね、アレクサンドルが冒頭から
「え?!髭は?声は?!ホルモンは?!」と不思議になるくらい綺麗。
綺麗しか形容できないくらい綺麗。
初主演だからなのか、演技は辿々しさが残るが、流石プロのモデル。カメラを向けられた時の目線の零し方がセクシー。
横顔が信じられないくらい綺麗です。
それだけでも銀幕で見る価値のある映画だと思う。
それだけに、ストーリーが単調で、まとまりがなかったのが惜しい。
自分の性と向き合うためのミスコンなのか。
社会と繋がるためのミスコンなのか。
たぶん、両方の意味で自分らしく生きていくことがテーマなんだろうが、裾野を広げ過ぎてキャラクターが薄い。
アレクサンドルの同期がミスコンに出たい!
なんで出たいの?
自分を見つけるため!
って動悸が不十分なものに見えてしまう。
最後に両親が出てくるのも不思議。
両親は事故で亡くなったと会話では説明があるけど、エピソードの記憶は無いので、アレクサンドルとどんな関係でどんな人になって欲しいと望んでいたのか分からない。
終盤で見た両親に「愛してくれて、ありがとう」と言っても、自己肯定感からの台詞なのか、それとも両親へ産んでくれたことへの感謝を伝えたかったのか、まぁどちらの意味も含んでいるんであろうがよく分からない。
他のキャラクターも格好良いことをちょいちょい言っているのに、パンチがない。
キャラクターのバックグラウンドが薄いからだ。
キャラクターの背景や苦悩があって、それでも自分の生き方や志のある人に魅力が備わっていくものだと思う。
その、魅力が伝わりにくい。
良いなぁと思う場面は多いのに、見せかけばかりだ。
そもそも、自分探しならミスコンで無くても良いし、大衆の面前で裸になる必要もないのでは?!と本末転倒なことを思ってしまう。
この手の作品は裾野を広げてから、最後に結べるかが肝になる。
今作は結びきれなかった印象だった。
ともあれ、ポージングの素敵なモデルさんがたくさん登場するので、一件の価値はある。