KCIA 南山の部長たちのレビュー・感想・評価
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感情を押し殺した男の爆発した時の凄み!
韓国大統領の右腕だった、中央情報部キム部長が大統領暗殺に至った史実を映画化したという本作。(本当に史実通りなのかはよく分からないけど…)
イ・ビョンホンの、極力感情を押し殺していた男が爆発した時の凄みや、革命の同志と高い志を忘れ権力に執着する「裸の王様」が、真の味方は誰か疑心暗鬼となっていく心情の変化などが上手く演出されていた。
もう少し、情報戦・心理戦の妙なんてのがあれば良かった気がするが、一応史実を基にという前提なので仕方ないか…
最期に彼が起こした革命は・・・
夢占いでは、片方の靴だけがなくなる夢をみたら、人間関係悪化の暗示だという。身近な人とトラブルがおこり、関係性が壊れてしまう恐れがある…韓国には同様の言い伝えがあるのだろうか?パク元部長もキム部長も靴を片方無くした後に……。二人とも閣下と革命の同志であったのが、何故あのような結末になったのか、真実はもはや誰にも分からないが、このような事件が事実であり、私がこの世に生を授かってから起こったことなのだと思うと身震いがした。
イビョンホンの演技力はやはり凄かった。閣下への信頼を失っていくに従って冷静沈着などちらかと言えば穏やかな目元が次第に狂気に満ちて瞳孔が開いていく様に戦慄が走った。髪型をやたら気にする仕草も好きだった。。。
暗殺に成功し南山まで走らせた車がUターンして軍部に向かう。引き返す決意をしたキム部長は、恐らくこのまま自分が助かって大統領になったとしても同じ道を辿ってしまうだろうと、自らの行く末を案じての、つまりは民主化を望む国民をまた裏切るような行為をしたくないという、最期の彼の革命だったのだと、信じたい。
映画鑑賞後、新大久保に寄って生マッコリとチルソンサイダーを購入し、マッソを飲みながら、「あの頃はよかったな・・・」「あの頃は良かったですね・・・」と日本語で盃を交わすシーンに想いを馳せた。
雑観
韓国の歴史について予習してから見ましょう
パク大統領の右腕であるキムKCIA部長がパク大統領の暗殺に至る40日間を描く物語。
歴史が非常に苦手な私にとっては、前半はいまいち理解できず。韓国の近現代史や朴正煕暗殺事件についてざっと予習してから観るのがおすすめです。
一方、後半で一気に引き込まれました。パク大統領が汚れ仕事を「暗黙」の命令でやらせておいて、はしごを外してその責任は部下のせい。時に部下の機嫌をとることもある。そうして懐柔・突放しを繰り返した結果、愛想をつかされるという普遍的な組織の揉め事を描いていて、歴史関係なく人間ドラマとして楽しめる。殺す決意をしてからの怒涛の展開には熱くなった。
真剣に作りこんであるクオリティーの高い映画であることは確かです。
本能寺の変〜コリアンバージョン
良質の政治サスペンスです。
いやー、イ・ビョンホン健在。久しぶりに出演作観ましたが、良い俳優さんですね、やっぱり。
彼の心情滲み出る演技が本作全編に渡り緊迫感を生んでいました。
感想を書く前に多くのレビュアーさんに感謝です。
本作、事実を元にしたフィクションですが、
「え?それが?」
「えー?それもなの?」
って感じで、ストーリーの重要なエピソードがフィクションであるということを多くのレビューを読み知りました。今から40年前の韓国で、こんなドラマティックな事件があったなんて!と完全に信じ込んでいた私は自身の不勉強を心から恥じました。
なので、事前に今回の舞台となる「朴大統領暗殺事件」の概要と関係した方々の情報は事前に頭に入れておいた方がいいかな?って思いました。
それはさておき、さておきですよ。
上質な政治サスペンスです。主人公の私生活、いや登場人物の私生活など描写されず、事件前40日の出来事を関係者たちの行動、苦悩、戦略、考えの変化、変わらぬ大統領に集中し描いてるので常に「どうなる?どうなる」のハラハラ続きます。
フランスのあの場面はかなりの緊張感でした・・・そして「え!?」そーなの?の終わり方。いいです。
ノンフィクションだったら事実と異なるところが多いので、サスペンス感はなかったかもしれません。
また、大統領側近同士のマウントポジションの取り合いもなかなか良いですね。
それをサスペンスというかどうか?はさておきですが。
あとはラストですねー。
キム部長・・・本当のところはわからないけど、この作品では「私怨」で動いたように見えました。
「こんなに頑張ってるのに!お前はー!」みたいな。
冷静に事に及んでたのは彼の部下だけだった気がします。
無計画が半端ないのです。あと、あの動転具合。とてもじゃないけどこの先々を考えていた「革命家」には見えませんでした。・・・小物感をうまい具合に出していたかなー?って。
ま、フィクション面が多いので、きっとこれも脚色かなぁ?って思っちゃいますけど。
思うに、ここまでフィクションに振っているのであれば、(レビュアーさんの感想を読んだだけですが)ノンフィクションテイストの演出は削って欲しかったなぁと。
もっと外国との接点も描いて、国同士でのヒリヒリを描いても欲しかった。
それと、朴大統領が18年続けられた要因や、暗殺があったもまだしばらく軍事政権を続けざるを得なかった韓国の事情などにも踏み込んで欲しかったなぁ。
背景をもっと書き込んんでも良かったんじゃないかな?
だから中途半端なエンドロール間際の肉声と映像は不要だったのではないかな?って思います。
ほぼフィクションなのにこれを入れる理由は?なんだか、革命家気取りの元部長って見えちゃいます。お気の毒。恥の上塗りっぽくて。
うーん、演者も演出も映像もよかったから惜しい。
しかし、、、この密室政治、暴力(銃)でなんとかしようという政治の中枢の人々。あってはならんですね。政治とは呼べないですね。
なんでしょうねー、人間の考え方や性格のように、国の考え方などは早々変わらないと思っている僕は、ちょっと隣国の今を心配してしまいました。
ただ、ここまで描かせる懐の深さも同時に感じましたけどね。
お帰り、イ・ビョンホン様
裏切り裏切る
真実味を感じさせる演出が良かった
レビューの高評価だけで、予備知識無しに見てみました。
元々、歴史ものとか史実に基づく話も好きなので、近代の大河ドラマっぽくて興味深かったです。
イ・ビョンホンさんは、革命家でもあるでしょうが大統領の側近でもある少し官僚っぽい風貌の役づくりに徹して、自らの格好良さを封印し、七三分けのサラリーマン風の人物の見た目をきっちりこなし、役づくりが流石だと思いました。
以前、王様を演じた時の映画では衣装だけでなく、漂うオーラが本当に王に見えたのに、今回は「トップではない人物」を上手く演じていたと思います。
途中の日本語、わりと流ちょうだな、と思いました。
時代的に、黒電話でダイヤル回してたり、壁に聴診器的なのを当てて盗聴とか、そういう時代だったか〜と思い、
暗殺決行も、ドラマやよくある映画みたいにかっこ良くキメるのではなく、おそらく史実に基づいて?数発ですぐ拳銃が不調になるとか、トドメを刺しても部屋を出る時に別の人の血溜まりで足をすべらして転ぶとか、
興奮状態、カッコ悪い部分も見せ、おそらく現実もこの描写に近いものだったのだろうか、と思わせてくれました。イ・ビョンホンをカッコ悪く転ばせるなんて、「出来るだけ真実に近いものを再現させたい」、という制作陣の意気込みを感じました。
原稿を書いた方が拉致された時、袋の中からの景色は斬新な演出でした。拉致された本人の目線での描写はあまり見たことなかったので。
それと、上司は複数の部下に、信頼してるんだぞ、と思わせるためにおんなじ言葉で煽ってはいけないな、とつくづく感じました。
「あなたが俺を信頼してくれてると思った言葉、あいつにも言ってたのか!」ってそれはカチンとくるだろうな、と納得。
なかなか見ごたえのある作品でした。
大統領暗殺
腐敗してしまった大統領を辞任させようと努力するKCIAの諜報部長は、大統領を米国で告発した親友の前部長を暗殺して大統領を守ろうとするが、国民を鎮圧するために惨殺しようする大統領の暗殺を決意する。
決意までの葛藤が見どころ!
重苦しい緊張感がたまらない映画
大事なことって、お酒の席で決まるんですよね。歴史の分岐点は過去も現在も変わらずに、人と人が対峙したときに決まるのでしょう。人間関係って大事で怖い...。
主人公の髪を直すという所作が大事なものとして描かれていて面白かった。
『ファーゴ』は多くの映画人に影響を与えているのかなあと。もしくは、あの機械をああやって使うのは遺体処理あるあるなのだろうか?
決行の日に厨房にいた料理人さんたちは、かわいそうでした。だけど、『スターリンの葬送狂騒曲』にあったように従者たちを全員殺害するのは、後々のことを考えるとそういう処置をしておくべきなんだろうなあ、と思いました。
奴も奴だが君も君だな
当時小学生だった自分には「大人達が何だか騒いでる」出来事でしたが、改めて覗いて見ると怖いよね。うん、怖い。
史実に乗っ取ったフィクションなので、どことなくシャープさに欠けて見えたりするのだけれど、キリキリと胃を握られてる様な緊張感は満載でした。それでも、もう少しケレン味足してくれても良かったかな、なんて思ったりして。
警備室長の粗野で腰巾着な小物感は最高なんだけれど、対比としての主人公もどことなく詰めが甘いので、何だかどっちもどっちの印象になってしまったのですよね。今年の大河ドラマ「麒麟がくる」に似た感じというのかな。主人公が切れ者なのだが、時代の流れに呑まれてキレて行く感じが見たかった。
それでも、そこそこドライに自国を抉ってる感じは好感が持てました。
ごめんなさい
イ・ビョンホン?誰かに似ている
憂国の薬缶ステア
1979年10月26日に朴正熙を殺害した中央情報部部長金載圭を主人公に、事件までの40日間を描いたフィクション。
歴代大統領がことごとく憐れな末路を辿る韓国において、前大統領朴槿恵の父親にして任期中に暗殺された朴正煕の強権ぶりと、同郷で旧知の関係に有り側近でもあった金載圭が不信感を募らせ、プレッシャーをかけられ、行き詰まっていく様は、正にサスペンス。
近代韓国史に詳しい訳ではないので、どこまで事実かはわからないけれど、とてもスリリングでエンタメとしてとても面白かった。
ただ、冒頭でフィクションである旨の字幕はあるものの、結構シリアスに現実っぽく描かれているし、上書きが得意なお国柄もあるし、これが事実として誤認されていきそうでちょっと怖い。
韓国の「本能寺の変」
外見的には全然似てないのに、キム部長役のイ・ビョンホンと、朴大統領役のイ・ソンミン、クァク警備室長役のイ・ヒジュンの三人のなりきり演技には圧倒されました。
実に面白い、近代ドラマとして楽しみました。
『タクシー運転手 約束は海を越えて』『1987、ある闘いの真実』などに見るように、そろそろ韓国では、軍事政権時代の出来事を過去とみなし、一種の時代劇へと昇華しているような気もしました。
わずか40年前くらいのことではあるのですが(軍事政権時代を嫌悪してる人も多いのかも)。
本作も実録ものと言いながらも、エンタメ的な切り取り方が目立ち、フィクションの部分が多かった印象です。
犯人のキム部長(=モデルの金 載圭)に対して同情的で、参加していないはずの1961年「5・16軍事クーデター」に朴正煕と共に参加していたように改変され、憂国の士のように描かれていました。
キム部長の姿が、最近のNHK大河『麒麟がくる』で、(本能寺の変へと連なる)明智光秀の信長への殺意の積み重ねと、ダブって見えたりしました。
また、暗殺された朴正煕元大統領については、経済成長を成し遂げた人物という側面には触れず、民主化運動を弾圧し、お気に入りの役人だけを贔屓し、国家の金を横領した独裁者という部分のみを強調していました(長期政権後半の腐敗具合はあながち間違ってはいないようですし、経済成長自体が政府発表のまやかしという説もあるようですが)。
犯行動機については諸説ある中、ドキュメンタリー原作者や、監督・プロデューサーの恣意的選択が入るので、犯人その人でもなく、その時代にその場所にいなかった神ならぬ我が身には何が真実かはわかりかねますが。
ただ、先に例に挙げた明智光秀や、その後世の中を簒奪した豊臣秀吉、幕末の維新志士や新選組らが、魅力的人物として描かれるのと同じように、(世が世ならテロリスト同然にもかかわらず)歴史の大きなうねりを生んだ人物は、ドラマになりやすいのだなと。
この基になった事件自体、韓国版の「本能寺の変」みたいなもんだし。
さらに、これが韓国でヒットした背景には、最近判決のおりた娘の朴槿恵元大統領への国民の憎悪に近い反感が、その父・朴正煕にも向けられたのではないかと思ったりもしました。
ヤクザかマフィアの抗争?
パクだのキムだの同じような姓が出てくるので肩書つけないと混乱。
面白いのだが、喋りが多いので、前半は眠気が襲う。
そんなこんなで、少しカオスの頭の中を整理しながら、中盤から後半にかけてはじっくり鑑賞しました。
大統領が暴徒化した民衆は戦車で轢き殺せばいいみたいなこと言ってたが、”政府のやることに文句言うな”って言ってたどこかの政治家と被る。
国民ありきの政府なのに、国民を虫けらみたいな扱いにしちゃいけません。
南山へ行っていたら、また違ったのかなぁ?
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